学生時代の国民年金を追納するか否か悩む女性

「今月の手取りはこれだけかぁ。社会保険料や税金って思ったより負担大きいな…。」

社会人になり給与明細を見ると、保険料や税金などが差し引かれていて、ちょっと切ない気持ちになることもありますよね。

そんな時「学生時代に猶予(学生免除)されていた国民年金保険料を払ってないなぁ。追納制度を利用して払ったほうが良いのかな?」と気にしたことがある人も多いのではないでしょうか?

実際、学生納付特例制度を利用して猶予を受けていた期間は年金額には反映されません。つまり、今のままだと老齢基礎年金を満額貰えないという事です。

しかし、そうは言っても国民年金保険料は結構高いです。1年分追納するとなると約20万円のお金が必要です。

そもそも、将来ちゃんと年金を貰えるかどうかも分からないのに払う必要ある?と思うのが普通の感覚。

そこで今回の記事では

  • 学生時代の保険料を払わないと減ってしまう年金の金額
  • 追納したとして年金受給開始後何年で元が取れるのか
  • 追納以外で老後資金を増やすための対策

などを見ていきながら、「学生時代に払っていない保険料は追納したほうが良いのか?」ついて考えていきたいと思います。

注:国民年金は20歳になった時から加入します。それゆえ学生時代の猶予期間は誕生月によっても異なるのですが、今回の記事では4年制大学在学中の最後の2年間はすべて猶予を受けていたという前提で話を進めます。

なお、現在学生で学生納付特例の詳細を知りたい方は「学生納付特例制度とは?知っておかないと困る情報をメリット・デメリット形式で解説!」をご参照ください。

国民年金保険料を追納しないと将来の老齢基礎年金はどれくらい減るのか?

財布からお金を出す人

国民年金は、20歳から60歳になるまでの40年(480月)分の保険料をすべて納付すると満額の老齢基礎年金の受給が可能で、金額は2019年度で780,100円です(参考:年金の受給(老齢年金)|日本年金機構)

そして、自分が受給できる老齢基礎年金の額は以下の計算式で求めることが可能です。

受取可能な老齢基礎年金の計算式
780,100円×保険料納付済期間÷40年

従って、1年間納付することで得られる将来の年金額は

780,100円×1年÷40年=19,502.5円

です。

なので、学生時代に猶予を受けていた2年分の保険料を納付しなければ将来受け取れる老齢基礎年金額が年間39,005円(19,502.5×2年)減少します。

猶予分を払わなければ将来の年金額は741,095円(780,100円-39,005円)になるという事です。(猶予分以外の保険料はすべて納付したものと仮定)。

なお、年金の基礎知識を知りたいよ!という方は年金は何歳から支払いが始まって、いつから受給できるの?を読んでみてくださいね。

追納したとして何年で元が取れるのか?

考える若い男性

続いて、国民年金は受給開始後何年で元が取れるのか?を見ていきます。

計算式は簡単です。

国民年金の回収期間算出の計算式
納付済保険料÷年間の老齢基礎年金額

先ほど見たように、学生時代の2年間の猶予保険料を追納すると年金額は年間39,005円増加します。2019年基準の国民年金保険料額は月額16,410円(参考:【平成31年度】国民年金保険料はいくら?)ですから、これを計算式にあてはめると、以下のようになります。

393,840円(*)÷39,005=約10.1年

* 16,410円×24月。なお、計算を簡略化するため納付済保険料も老齢基礎年金も2019年基準の金額で計算しています。

このように国民年金は10年ちょっとで元がとれるんですね。通常、年金は65歳から受給開始なのでおおむね75歳まで生きれば元が取れる計算になります。

年金が入金されている事を確認するシニア女性

さらに言うと、国民年金保険料は社会保険料(*)に該当するので「追納した国民年金保険料の金額×税率」分の節税が可能です。

* 社会保険料控除の詳細は「【画像付】社会保険料控除がサクッと分かる記事!」をご参照下さい。

たとえば、税率20%(所得税と住民税の合計)の人が2年分の追納を行うと「393,840円×20%=78,768円」の節税になります。節税金額も考慮して、何年で元が取れるか計算してみると「(393,840円-78,768円)÷39,005円=約8.1年」となり、回収期間は更に短くなるんですね。

意外に国民年金ってお得じゃん!と思われた方も多いのでは?注:国民年金はけっこうお得ですが、厚生年金は現在の現役世代にとってはそんなにお得じゃないです)。

しかしここで注意です!

「お金に余裕がでたら猶予期間分も追納しよう~」と思って追納が遅れてしまうと思わぬ利息がつくかもしれませんよ。

注意!学生納付特例分の追納は2年1ヶ月前の保険料分から利息がつきます!

学生納付特例で猶予された保険料は10年前までさかのぼって追納することができますが、2年1ヶ月以上前の納付分から利息がついてしまいます

下表は2019年(平成31年)中に過去の猶予分を追納した場合の保険料と追納加算額をまとめたものです。

国民年金保険料の追納加算額表
(数字出典:国民年金・厚生年金保険料率の改定推移国民年金保険料の追納制度|日本年金機構

いつ払うかにもよりますが、月額20円~620円(12ヶ月分払うとすれば250~7,440円)の加算額が上乗せされます。追納する際にはこの点にも注意しておきましょう!

追納せずに自分で運用したほうがお得かも…?

資産運用のイメージ

「もしかして追納せずに自分で資産運用して増やしたほうがお得なんじゃないの?」と思った方、良い発想ですね!

たしかに、そちらの方が老後の生活が安定する可能性はあります。

試算してみましょう。

<<試算の前提>>

・2年分の追納保険料:393,840円
・運用期間:43年(大学卒業後22歳から65歳まで。売却は最終年度。)
・利率:4%の複利(利率の算定根拠【記事未了】)
・税金:利益に20%課税(復興税は無視)

<<運用結果>>

項目金額
①税引前の資産総額2,126,931円
②税金346,618円
({2,126,931円-393,840円}×20%)
③税引後の資産総額1,780,313円(①-②)

このように年利4%で運用すると仮定すれば、最終的に65歳時点で1,780,313円のお金が手元に残ります。一方で、学生時代の猶予保険料2年分を追納すれば将来の年金は年間39,005円増加します(先ほどのセクション参照)。

どちらがお得でしょうか?

この点、「1,780,313円÷39,005円=約45.6年」ですから、自分で資産運用することにより45年分の老齢基礎年金額と同じ金額の自分年金が作れたという事になります。

ちなみに日本人の平均寿命は「男性:80.98歳、女性:87.14歳(参考:平均寿命と平均余命)」です。以上より、人によっては追納せずに自分で運用した方がお得になる可能性があることが分かりますね。

しかし、運用には不確実性が伴います。公的年金という確実な手段に託すのか、自分で資産運用するのかはよく考えてから判断して下さいね!

参考:追納保険料分をiDeCoで運用すれば無税なので、受取金額がもっと増える可能性もあります。

【参考】追納以外で国民年金を満額もらう2つの方法

お金を計算して喜ぶ女性

ここまで、追納することを前提に話を進めてきましたが、実際には追納せずとも満額の国民年金を受け取る方法もあります。

それが以下の2つです。

  1. 国民年金の任意加入制度を利用する(*)
  2. 60歳以降に厚生年金に加入する

いずれも60歳以降に利用できる制度で、上手く利用すれば追納をする必要がなくなります。

それぞれの制度の詳細は「「国民年金の任意加入被保険者とは?」及び「厚生年金の経過的加算とは?【記事未了】」を参照してください。

* 国民年金の任意加入被保険者が支払う保険料は、過去の保険料ではなく任意加入時の保険料です。学生の時と比べて保険料が大幅に上がっている場合にはかなりをする可能性もあるので、その点に注意して利用するかどうか検討して下さい(追納ではないので追納加算額は発生しません)

まとめ~学生時代の国民年金を払うか否かは本人の考え方次第!

年金手帳を持つ女性

少し長くなってしまったので、今回の記事の概要をまとめます。

  • 猶予保険料2年分を払わないと将来の年金額が約4万円減る
  • 追納すれば受給開始後約10年で回収可能(節税効果も考慮するともっと早くなる)
  • 2年1ヶ月以上経つと追納加算額が上乗せされるので注意
  • 追納せずに自分で運用すれば公的年金以上のお金をゲットするチャンスがある
  • 追納以外にも国民年金を満額もらう方法はある

長々と書いてきましたが、結局のところ「追納するか否か」「いつ追納するのがお得か」はあなたが公的年金をどう考えるかや現在の所得状況等によって変わってきます。将来的には受給開始年齢の引き上げや給付カット等も予想されますしね。

今回の記事を見返しながら、自分にとって最もしっくり来る方法はどれなのか?じっくりと考えてみてください。

ちなみに筆者は、目先の節税効果を重視して「社会人になって余裕が出来た時に一気に払ったタイプ」です。

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