平均寿命の意味とは?老後資金は平均余命で考えたほうが良いですよ!

平均寿命の真実

平均寿命の真実

みなさんは、何歳まで生きると仮定して“老後の資金”を準備すれば良いか知っていますか?

「平均寿命を見ると、最近の日本人は大体80歳くらいまでは生きるみたいだから、80歳まで生きる程度の資金を用意しておけばいい!」と思っていませんか。

実はその考え方は危険なのです。特に、今現役世代の方達は100歳まで生きる資金を用意しておいた方が良いかもしれないですよ!(まぁ、ちょっと言い過ぎの感はありますが・・・)

どういう事なのか、以下で見ていきましょう。

目次

平均寿命とは?⇒0歳児が何歳まで生きることが出来るかを表すもの

多くの人が、いつまで生きられるのかを考える際に「平均寿命」を参考にしますよね。

しかし、そもそも平均寿命の意味を正確に知っていますか?平均寿命の意味を勘違いして覚えてしまっている方が結構多い様なので注意してください。

平均寿命とは、「死亡率が将来も変わらないという前提で、その年に生まれた0歳児が何歳まで生きる事が出来るのか」を表したものです。

解説する女性

生まれた子どもが何歳まで生きられるかを示しているのだから、「平均寿命は今の自分が何歳まで生きられるかを示しているのと同じでは?」と思うかもしれませんが、それは違います。

なぜなら、0歳児(新生児・乳児)は、昔と比べると減ったものの先天性奇形や染色体異常などによって出生後すぐに亡くなるリスクが有り(厚生労働省:平成29年我が国の人口動態)、そのリスクも加味して平均寿命が算出されているからです。

平均寿命を気にする様な方達は、死亡率の高い0歳児ではないですよね。生まれた直後の高い死亡リスクを乗り越えて来た方々なので、死亡率は一気に下がるのです。

では、なにを参考にすれば良いのか。一例としては”平均余命”が考えられます。平均余命は後述していますので気になる方はリンクから先に御覧ください。

以下では、先に平均寿命の過去の推移を見ていきます。

日本の平均寿命の推移と世界ランキング

折れ線グラフ

日本の平均寿命は、どんな推移を辿っているのでしょうか。昭和22年〜平成28年の動きを見てみましょう(参照元:厚生労働省「平成28年簡易生命表の概況」)。

参考:厚生労働省が発表する人口動態統計の値として「簡易生命表」と「完全生命表」とが有ります。簡易生命表は毎年作成されますが、完全生命表は5年に一度しか作成されません。

和暦女性男性
昭和22年53.96歳50.06歳
昭和25〜27年62.97歳59.57歳
昭和30年67.75歳63.60歳
昭和35年70.19歳65.32歳
昭和40年72.92歳67.74歳
昭和45年74.66歳69.31歳
昭和50年76.89歳71.73歳
昭和55年78.76歳73.35歳
昭和60年80.48歳74.78歳
平成2年81.90歳75.92歳
平成7年82.85歳76.38歳
平成12年84.60歳77.72歳
平成17年85.52歳78.56歳
平成22年86.30歳79.55歳
平成27年86.99歳80.75歳
平成28年87.14歳80.98歳

第二次世界大戦後、高度経済成長期を経て年々平均寿命が上がって来ている事が分かりますね。生活環境や医学の進歩が平均寿命上昇の原因でしょう。

ちなみに、平成28年の平均寿命(過去最高を更新!)が伸びた事について、厚労省は「がんや心疾患、脳血管疾患の死亡率が医療技術の向上で低下したことが大きい」と発表しています。

また、もともと男性よりも女性の方が平均寿命は長いのですが、ここ数年男女差が少しずつですが縮まる傾向にあります。これは、男性の健康志向が高まり、禁酒・禁煙をする男性の増えた事が一因の様です。

ランニングする男性

なお、日本の平均寿命は世界的に見ると非常に高く、2016年の平均寿命は世界第2位です。

参考に国・地域別の平均寿命を見てみると、トップ5は以下の通りとなっています。

順位女性男性
1香港(87.34歳)香港(81.32歳)
2日本(87.14歳)日本(80.98歳)
3スペイン(85.42歳)キプロス(80.90歳)
4フランス(85.40歳)アイスランド(80.70歳)
5韓国(85.20歳)スイス(80.70歳)
参考:スペイン・韓国・スイスは2015年の数値、キプロスは2014年の数値。

男女共にトップは香港ですね。日本は女性の平均寿命は2年連続2位ですが、男性については4位から2位に上昇しました。

老後資金は平均余命で考えるほうが適切!100歳分まで必要!?

老夫婦の画像

上で、「平均寿命は0歳児が何歳まで生きるかを表したものなので、老後資金を考える際にはあまり役に立たない」と書きました。では、何を基準に考えれば良いのでしょう。

一例としては「平均余命」が考えられます。これは、厚生労働省が平均寿命と一緒に公表しているもので、「ある年齢の方が平均してあとどれくらい生きる事が出来るのか」を表すものです。

平成28年の簡易生命表によると、男女の平均余命は以下の通りとなっています。

年齢女性男性
0歳87.14歳80.98歳
5歳82.37歳76.20歳
10歳77.39歳71.23歳
15歳72.42歳66.26歳
20歳67.46歳61.34歳
25歳62.53歳56.49歳
30歳57.61歳51.63歳
35歳52.69歳46.78歳
40歳47.82歳41.96歳
45歳42.98歳37.20歳
50歳38.21歳32.54歳
55歳33.53歳28.02歳
60歳28.91歳23.67歳
65歳24.38歳19.55歳
70歳19.98歳15.72歳
75歳15.76歳12.14歳
80歳11.82歳8.92歳
85歳8.39歳6.27歳
90歳5.62歳4.28歳

これを見ると、75歳以上の女性は平均で90歳以上まで生きる事になります。男性についても85歳まで生きた方は90歳以上まで生きる可能性は高い事が分かりますね。なお、気付いた方がいるかもしれませんが、上述した平均寿命は「0歳の平均余命」と同じですよ。

また、出生者のうち半数が生き残ると期待されている年数(寿命中位数)を見ると、平成28年では「女性が89.97歳、男性が83.98歳」となっています。

つまり、女性の半分は約90歳まで、男性の半分は約84歳まで生きるという事ですね、平均寿命と比べると3〜4年程度長いです。これらを見るだけでも、平均寿命までの資金準備では足りない事が分かりますね。

さらに、国立社会保障・人口問題研究所によると、2070年には平均寿命が女性91.35歳、男性84.95歳まで伸びると考えられています。

そうなると、100歳まで生きる方もきっと今よりもだいぶ増えるでしょうね。

砂時計

従って、今現在30〜40歳くらいの方は「平均寿命+5歳~10歳」くらいまで生きる事を視野に入れて、老後の資金を準備した方が安全と言えるでしょう。

長めに生きる事を念頭に入れたのに、若くして亡くなってしまった場合には貯め損になってしまいますが、老後資金が底をつくよりはマシですよね。限界ギリギリの生活をしながら生きるよりも、ある程度の資金的余裕を確保しながら生きた方が良いのは間違いありません。

将来的に余剰資金があれば、子供に財産を残すこともできますし、子供が親の生活資金等を工面しなければならないという無駄なリスクも排除することが可能です。

コラム:健康寿命とは?平均寿命と何が違う?

平均寿命に似た言葉で「健康寿命」というものが有るのですが知っていますか?また、平均寿命とは何が違うのでしょうか?

悩む女性

健康寿命とは、「健康に問題の無い状態で日常生活を送る事が出来る期間」の事です。健康寿命が高いほど寿命の質が高く、医療費や介護費の削減に結びつくと言われています。

参考:健康寿命は、2000年にWHO(世界保健機関)が「Healthy life expectancy (HALE)」として提唱して以来、注目を浴びています。

平均寿命は、0歳児が平均何歳まで生きられるかを示すもので、健康寿命は健康な生活を送る事が出来る期間なので、平均寿命と健康寿命の差は、日常生活を送る上で制限の有る「不健康な期間」を意味することになりますね。

少し前のデータになりますが、平成25年の日本人の健康寿命(全国平均)を載せておきましょう。

女性男性
健康寿命74.21歳71.19歳
平均寿命86.61歳80.20歳
(参照元:UMIN「健康寿命の指標化に関する研究」)

多くの人が、人生において約10年程度は不健康な期間(女性だと約12年、男性だと約9年)を有することになるというデータとなっていますね。

人間、貯金が無くても体が健康であれば、働くことで収入を得て、生活をしていく事ができます。しかしながら、不健康だと労働することもままなりません。また、高齢期は医療費も高額になりがちです。

そういった事も踏まえて考えると、老後資金は平均寿命まで用意しよう!と考えるのではなく、少し多めに用意しておいた方が良いのは自明の理です。

また、病気をして体が不自由な状態で長生きしても楽しくないですよね。せっかくなら健康な状態で長生きしたいとみんな思っているはずです。日頃の不摂生は控えて、健康な生活を送る様にしましょう!

ちなみに、厚生労働省は「健康寿命をのばそう!(Smart Life Project)」として、以下の3つのアクション+1を推奨していますよ。

  • 適度な運動(毎日10分)
  • 適切な食生活(1日あと70gの野菜を!)
  • 禁煙
  • 健診・検診の受診(←これがプラスワン)

健康が気になる方は是非取り入れてみましょう!

まとめ

まとめ

いかがでしたか?

「若い頃から老後の資金の事を考えるなんて無理!」「今を生きるだけで精一杯!」という意見の方もいるでしょうが、医学の進歩は留まる事を知りません。

今現役の方達は、事故や事件、大きな病気などに見舞われない限りは、今の高齢者よりも長生きする事が予想されます。

今後も寿命は伸びていくでしょうから、働けるうちにしっかりと働いて効率的に老後の資金を準備していく様にしましょうね。

老後資金を貯めるにあたっては以下の記事もご参照くださいね。

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