確定拠出年金(個人型・企業型)の加入者数の推移と加入率【2017】

推移
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2017年(平成29年)1月から個人型確定拠出年金(以下、iDeCo)に加入出来る方の範囲が広がり、公務員・会社員・専業主婦・自営業など現役世代の方は基本的に全員加入出来る様になりました(関連記事:iDeCoの加入資格
 
また、企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)についても、2014年1月1日から加入者の上限年齢が60歳から65歳に引き上げられています(関連記事:企業型DCの加入資格)。

これらの改正により、確定拠出年金はより身近なものとなり加入者も一気に増加している状況です。

「確定拠出年金の加入者が増えている」という話自体は耳にした事の有る方も多いでしょうが、実際のところ確定拠出年金にはどれくらいの加入者がいて、どれくらいの勢いで加入者が増え続けているのでしょうか?

ここでは、確定拠出年金(iDeco・企業型DC)の加入者数の推移や加入率になどついて見ていきます。

タイミングによって公表されるデータの内容(年齢や性別など)が異なるので、以下で登場する数値も基準となっている期間等それぞれ異なる場合が有ります。対象期間や対象の時期を記載しているので、予めご了承ください。

目次

個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者数と過去からの推移

解説する女性

確定拠出年金は、iDeCo(第1号・第2号・第3号)と企業型DCとに分ける事が出来るので、それぞれについて加入者数の推移や加入率を見ていきましょう。まずは、iDeCoの加入者数について見ていきますね。

:加入者の数には、運用指図者の数は含まれていません(企業型DCも同様)。

なお、iDeCoに登場する第1号?3号加入者は、国民年金の「第○号被保険者」に合わせた形となっており、それぞれの数字の意味は以下の通りです。

  • 第1号加入者・・・自営業の方等
  • 第2号加入者・・・厚生年金の被保険者(会社にお勤めの方)・公務員の方
  • 第3号加入者・・・専業主婦・主夫等の方

個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者数(2017年)

まず、記事執筆時点(平成29年9月)で公表されているiDeCoの加入者数は620,339人(平成29年8月末現在)です(参照元:厚生労働省「確定拠出年金の施行状況」)。

内訳は以下の通り。

  • 第1号加入者・・・100,334人
  • 第2号加入者・・・506,621人
  • 第3号加入者・・・13,384人

円グラフにして割合を見てみましょう。

加入者の割合

圧倒的に第2号加入者(企業にお勤めの方や公務員)が多いですね。そもそも自営業の方よりもお勤めの方の方が数は多い訳ですから、この様な結果になるのも頷けます。

第3号加入者(専業主婦・主夫)については、2017年1月に解禁されたばかりなので現時点で少ないのは仕方有りません。今後は徐々に増えていく事が期待されます。

なお、加入者の男女割合はおおよそ「男性:女性=7:3」です。

参考:2017年3月末時点での加入者は男性296,457人、女性134,472人。

(iDeCo)制度スタートから現在までの加入者数の推移

次に、加入者数の過去からの推移ですね。確定拠出年金の制度は2002年1月にスタートしたので、スタート当初から現在に至るまでの推移を見てみましょう(各年の3月末時点の加入者数で、単位は万人です)。

加入者数の推移(iDeCo)

(参照元:厚生労働省「規約数等の推移」)

これを見ると制度がスタートしてから順調に毎年加入者が増えて来ていたのですが、2017年3月末時点で一気に増加している事が分かりますね。

以下で、もう少し直近の状況について詳しく見てみましょう。

直近の加入者種類毎の加入者数月次推移(2016年12月以降)

上で見たグラフの様に、2017年になって一気に加入者数が増えたのは、冒頭から話している加入者資格の拡大によるものですね。また、中でも「企業年金制度の有る会社の従業員でも加入出来る様になった」という影響が大きい様です。

そこで、2016年12月以降の月次推移(加入者資格毎)でその影響を見てみましょう。

月次推移(加入者種類毎)


(参照元:企業年金連合会「確定拠出年金の統計」)

このグラフで見れば一目瞭然ですね。1号と3号は緩やかな伸びですが、2号は2017年に入ってからすごい勢いで加入者が増加しています。2016年12月の加入者数と比べると実に倍以上です。

起業年金の有る会社にお勤めしている方が、いかにiDeCoを待ち望んでいたのかが見て取れますね。

地域別の加入者数

都道府県毎に、iDeCoの加入者数はどれくらい異なるのでしょうか?以下で、2017年3月末時点での地域別加入者数トップ10を見てみましょう。

順位都道府県加入者数(人)
1東京都67,271
2神奈川県35,099
3愛知県32,569
4大阪府28,897
5埼玉県24,860
6千葉県22,619
7兵庫県15,653
8北海道15,345
9三重県10,946
10福岡県9,859

(参照元:国民年金基金連合会「iDeCo(個人型確定拠出年金)の制度の概況」)

こうしてみると、加入者は東京都をはじめとした都会に多い事が分かりますね。都会は、そもそもの人口やお勤めの方の人数が地方と比べると圧倒的に多いでしょうからね。またこういったお得な制度の情報が流れるのも早いでしょうから、都会に住む方の方が加入率は高くなるんだと考えられます。

年齢別(年代別)の加入者割合

iDeCoは、主にどの年代の方が加入しているのでしょう。ここでは2017年3月末時点での年齢別加入者割合を見てみましょう(画像が小さくて見えにくい場合は、クリックすると大きく表示されます)。

年齢毎の加入者割合

(参照元:国民年金基金連合会「iDeCo(個人型確定拠出年金)の制度の概況」)

こうしてみると、1号?3号のいずれについても40?54歳までの加入者が多い事が分かりますね。

ちなみに加入者の平均年齢は以下の通りです。

  • 第1号加入者・・・46歳
  • 第2号加入者・・・45歳
  • 第3号加入者・・・45歳

仕事を頑張っていて、社会人として最も脂の乗っている時期の加入者が一番多いという事ですね。この時期になると老後の資金についても真剣に考え始めているでしょうから、積立の方法として税制上優遇の有る個人型確定拠出年金の人気が有るのだと考えられます。

企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入者数と過去からの推移

企業型DC

これまでiDeCoの加入者数について見て来ましたが、ここからは企業型DCの加入者数の推移について見ていきましょう。

企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入者数(2017年)

まず、記事を執筆している2017年9月時点で公表されている直近の企業型DCの加入者数は約632万人です(2017年8月末現在)。

参考:当数値は「速報値」です。以下でも、「約○万人」「○千人」という数値が出て来た場合は速報値だと考えて下さい。

企業型DCは会社が導入すると、その会社に勤めている方は一気に加入するケースが多いので、加入者数もiDeCoと比べると遥かに多いですね。

(企業型DC)制度スタートから現在までの加入者数の推移

2002年に制度が始まってから、現在に至るまで加入者数はどの様な推移をしてきたのでしょうか、以下で見てみましょう(グラフの縦軸は万人、横軸は各年度3月末時点です)。

企業型DC加入者の推移

(参照元:厚生労働省「規約数等の推移」)

毎年30?50万人程度ずつコンスタントに加入者数が増えて来ていますね。

なお、企業型DCの加入者の男女比は、おおよそ「男性:女性=8:2」です。

参考:2016年3月末時点の加入者のうち、男性は4,362,294人、女性は1,138,332人。

企業型DCの加入者については、以下の様に企業型DCを導入している企業や規約の数も勢い良く増えて来ているので、今後も引き続き増えていく事が予想されます。

規約数

年齢別(年代別)の加入者割合

iDeCoは働き盛りの40代の加入者が多かったですが、企業型DCはどうでしょうか。2016年3月時点の年代別加入者割合を見てみましょう。

企業型DC年齢別割合

(参照元:企業年金連合会「確定拠出年金統計資料(運営管理機関連絡協議会提供)」)

こちらも一番加入者が多いのは40代ですね。但し、この数字自体にはそれほど大きな理由はない気がしますけどね・・・。というのも、企業型DCはiDeCoと違って、勤務先に用意されているかどうかで加入の可否が決まります。

企業型DCを導入している会社に勤めている従業員が企業型DCに加入しない場合、掛金に見合う給料を上乗せして貰う事も出来るのですが(選択制確定拠出年金を導入している場合)、基本的には「せっかくだから入ろうかな」という方が多いですよね。

従って、企業型DCの年代別加入者割合は企業型DCを導入している会社の社員の年代別構成割合とそれほど変わらないのかな、と考えられます。

確定拠出年金の加入率は?

確定拠出年金の加入者は年々増えており、特にiDeCoは2017年に入ってから加入者数が急激に増えている事が分かりました。

加入者数の推移を見ると確かに順調に増えて来ている気はしますが、確定拠出年金の加入率という点から考えるとどうなのでしょう。

悩む女性

日本の人口は、2017年4月1日時点で約1億2,676万人です(参照元:総務省統計局「人口推計の結果の概要」)。

それに対して、iDeCoの加入者はわずか62万人。日本の人口からすると、iDeCoの加入率は約0.4%に過ぎません。企業型DCの加入率が約4.9%なので、企業型DCの加入者(628万人)も考慮してやっと5.4%程度です。

まだまだ少ないですね・・・。といっても、これはあくまでも日本の全人口に対する確定拠出年金の加入率です。

実際には、確定拠出年金に加入出来る方は20歳以上60歳未満()の方なので、加入可能年齢を考慮した加入率は?というと・・・

:就業のタイミングによっては15歳から加入する事が可能です。また、企業型DCは規約で定めれば65歳まで加入しておく事が出来ます。但し、ここでは便宜上、20?60歳として計算をしています。

日本の20歳以上60歳未満の人口は6,218万人なので、加入率は以下の通りとなります。

  • iDeCoの加入率・・・約1%
  • 企業型DCの加入率・・・約10%
  • iDeCo+企業型DCの加入率・・・約11%

制度に加入可能な方のうち、実際に加入している方は1割程度しかいないう事ですね。

確定拠出年金は、基本的に掛金を60歳になるまで引き出す事が出来ないですが、老後資金の準備方法としては最適です。今よりももっと加入者が増えて、老後の資金で困る事のない様な状況になるといいですね。

なお、参考までに米国(アメリカ)の401kの加入者数は2014年時点で約7,530万人となっています(参照元:401k fastfacts)。アメリカの人口は日本の人口の約2.5倍ですが、確定拠出年金の加入者数は10倍以上です。さすが401k大国のアメリカですね!

まとめ

確定拠出年金の加入者数は年々増加しており、特に2017年に入ってからiDeCoの加入者数はすごい勢いで増えている事が分かりましたね。

掛金拠出時には所得控除が受けられますし(iDeCoの場合)、老後に年金として受け取る際には公的年金等として税制優遇が有ります。節税をしつつ資金を貯める事の出来る確定拠出年金は、老後資金の準備方法としてはかなり魅力が有りますよね。

これからも確定拠出年金の加入者数は増えていくでしょうから、まだ加入していない方もこれを機に加入の検討をしてみてはどうでしょうか。

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