20歳を超えた学生は学生納付特例の利用が必須!手続きをしておかないと後悔する!?

大学生

日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の方は、国民年金に加入し保険料を納付する義務が有ります(国民年金法第7条第1項1号)。

法律上は年齢の範囲を設けているだけで、学生かどうかについての規定は特に無いので、大学生など学校に通っていて収入が十分に無い場合でも、20歳になったら国民年金に加入しなければなりません。

とはいっても、国民年金の保険料は平成29年度で毎月16,490円となっており(参照元:日本年金機構)、学生が毎月負担するのは結構酷ですよね。

そこで、学生には「学生納付特例制度」というものが用意されており、保険料の納付を猶予してもらう事が出来る様になっています。ここでは、学生納付特例制度の解説や卒業した後で過去の保険料を追納すべきか、などについて見ていきましょう。

目次

学生納付特例とは?

学生納付特例とは、国民年金制度に用意されている保険料の免除制度の1つです(国民年金法第90条の3第1項)。

参考:国民年金の保険料免除制度には、法定免除(法律上当然に保険料が免除されるもの)と申請免除(申請する事で免除されるもの)とが有ります。その内、申請免除には以下の7種類が有ります。「全額免除」「4分の3免除」「半額免除」「4分の1免除」「学生納付特例」「若年者納付猶予」「50歳未満納付猶予」(関連記事:国民年金の免除制度総まとめ!払えないと諦める前に申請しよう

年金手帳

日本に住所の有る方は、20歳を過ぎると以下のケースを除き、国民年金第1号被保険者となり、国民年金への加入及び保険料の納付が義務となります。

  • 学生で収入が有り、社会保険に加入している場合・・・第2号被保険者
  • 学生で既に結婚しており、配偶者が第2号被保険者として働いている場合・・・第3号被保険者

但し、いきなり国民年金の保険料を払えと言われても、生活していくだけで一杯一杯の大学生にとって毎月16,490円もの保険料を負担するのは大変でしょう。

「国民年金の保険料を払う為にアルバイトをしないといけなくなった」、なんて状況になってしまうと国の制度としておかしいですよね。

そこで、「年収が一定の水準以下の学生については国民年金の保険料を猶予しましょう」、という事になっているのです。

なお、「猶予」と書いている事から分かるかもしれないですが、保険料が免除される訳では有りません。単に学校を卒業するまで納付を待ってくれる、というだけです。

参考:保険料の納付を「滞納」すると、将来年金を受給する為に必要な期間(年金の加入歴)にカウントされません。一方で、「猶予」の場合は納付をしなくても年金の加入歴にはカウントされます。

後述しますが、最終的に納付をしなかった場合は、将来貰える年金額に反映されない事になってしまうので、学生納付特例制度は使える方は使った方が良いです。

学生納付特例制度のいう「学生」とは?

学校の教室

学生納付特例制度の対象は「学生」ですが、学生といっても大学や専門学校など色々な学校に通っている学生がいますよね。この点、学生納付特例制度のいう学生とは、以下の学校に通う方の事を指しています(国民年金法施行令第6条の6)。

  • 大学(大学院)
  • 短期大学
  • 高等学校
  • 高等専門学校
  • 特別支援学校
  • 専修学校
  • 各種学校 
  • 一部の海外大学の日本分校

:あん摩マッサージ指圧師やはり師東の養成学校、歯科衛生士養成所など幅広く該当。但し、修業年限が1年以上の課程に在学している方のみ。(国民年金法施行規則第77条の6)

なお、学生納付特例の対象となる学校の一覧は、日本年金機構のホームページで公開されているので興味の有る方は参考にしてみて下さい。ちなみに、留学生でも条件を満たす限りは制度を利用する事が出来ます。

学生納付特例制度は前年の所得が多いと使えない!

お金のない女性

学生納付特例制度は誰でも使えるという訳では有りません。あくまでも、「収入が少ない為に保険料の納付が困難な方」が対象ですからね。

学生納付特例制度を使うには、申請者本人が以下の所得基準を満たしている必要が有ります(国民年金法施行令第6条の9)。

申請者の前年所得≦118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等

参考:扶養親族等の数に掛ける金額は、扶養親族が所得税法の規定する老人控除対象配偶者や老人扶養親族の場合は48万円、特定扶養親族である場合は63万円。

なお、ここでいう金額は所得の金額であって給料の額ではありません。給料で118万円だとしたら、自分で学費や生活費をまかなっている学生であれば超える可能性が有りますからね。

給与で考えると年間200万円程度もらうと所得金額が118万円を超える事になります(扶養や社会保険料控除等は無視)。

月換算すると約16?17万円ですね。アルバイトでこれだけ稼ぐ学生はそんなに多く無いでしょうから、所得要件についてはあまり気にしなくて良さそうですね。

申請手続きは毎年必要!

学生納付特例制度は、20歳になったら自動で適用される訳ではなく被保険者が自ら申請をする必要が有ります(国民年金法施行規則第77の4第1項)。

20歳になったら日本年金機構から「国民年金被保険者資格取得届」が届くので、届いた時点で学生なのであれば「国民年金保険料学生納付特例申請書」と一緒に提出すればOKです。

申請手続き

申請書に添付が必要な書類は以下の通りです。

  • 年金手帳のコピー 
  • 学生証のコピーor在学証明書(原本)
  • 退職(失業)した方が申請をする場合は、雇用保険被保険者離職票等の退職した事が分かる書類

:国民年金被保険者資格取得届の提出と同時に申請する場合は、年金手帳がまだ発行されていないので不要です。

なお、学生納付特例制度の申請は、以下の場所で出来ます。

  • 住民登録している市町村役場の国民年金窓口
  • 年金事務所
  • 在学中の学校の事務局 

:学校が学生納付特例の代行事務に関する許認可を受けている場合(学生納付特例事務法人)にのみ申請可能(国民年金法第109条の2の2)。

学生納付特例制度は、上述の通り前年の所得によって利用の可否が決まります。従って、一度申請したら卒業するまでずっと有効という訳ではなく、毎年申請の手続きをしなければなりません(1年度は4月?翌3月)。

ちなみに、学生納付特例制度には適用出来る最長期間は設定されていないので、留年したとしても問題なく利用可能です。

学生納付特例制度の申請をしたとしても、形式上、保険料の納付書(納入の告知)は届きます。また、特例申請の承認通知のハガキは、申請してから届くまでに2ヶ月程度かかる様です。

ハガキが来るまでドキドキするかもしれないですが、所得額の基準を満たしていれば基本的に却下される事はないので、心配は無用でしょう。

学生納付特例制度は手続きを忘れても遡って手続き可能!

「国民年金の加入手続きはしたけど、学生納付特例制度の申請手続きを忘れてしまっていた」という方もいるでしょう。しかし、その場合でも問題有りません。

学生納付特例制度は、申請書を提出した月から2年と1ヶ月まで遡って適用する事が出来ます。

参考:遡って申請する場合は、年度の数に応じて申請書を提出しなければなりません(1枚の申請書で申請出来る申請期間は4月?3月までの12ヶ月分)。

但し、既に保険料を納付している月については特例の適用が出来ません。また、申請が遅れると後述する様に障害年金が受け取れないなどの不利益を被る可能性が有るので、可能な限り早く申請する様にしましょうね。

国民年金を滞納すると障害年金が貰えない!?

国民年金制度で貰う事の出来る年金の1つに「障害年金(障害基礎年金)」が有ります。

参考:支給される年金額は、平成29年4月から1級「779,300円×1.25+子の加算」、2級「779,300円+子の加算」となっています(国民年金法第33条、厚生労働省)。

これは、国民年金の被保険者が一定の障害を持った際に貰う事の出来る年金ですね。

交通事故

但し、障害年金を貰うには以下の条件が有ります(国民年金法第30条、厚生労働省)。

  • 国民年金加入中に、医師等から障害の原因となった病気やケガについて初めて診療を受けた(初診日)
  • 一定の障害の状態にある
  • 保険料納付要件を満たしている

医師の診療や一定の障害状態という条件に関しては別途解説の場を設けるとして、学生納付特例制度で問題になるのは最後の「保険料納付要件」です。

保険料納付要件としては、初診日時点で以下のいずれかを満たしている必要が有ります。

  • 初診日のある月の前々月までの公的年金加入期間の3分の2以上の期間、保険料が納付されている若しくは免除されている
  • 初診日時点の年齢が65歳未満で、初診日のある月の前々月までの1年間、保険料の未納(滞納)が無い

20歳になったときに学生納付特例制度の手続きを済ませておけば、仮にその後交通事故等で障害を負う事になったとしても、保険料を滞納している訳ではないので、障害年金を貰う事が出来ます。

一方で、保険料を納付せずに学生納付特例制度も申請していなかった場合、障害年金の給付要件を満たしていないので、貰う事が出来ません。

障害年金は、障害にわたって貰う事の出来る年金なので学生納付特例制度の申請をしていなかった為に貰えなかった、というのでは非常にもったいないですよね。

従って、「学生の期間中も保険料を毎月納付するぞ!」という方以外は、忘れずに学生納付特例制度の申請をする様にしましょうね。

参考に、平成26年国民年金被保険者実態調査によると、学生のうち、学生納付特例を申請せずに滞納してしまった方の割合は9.1%(1号期間滞納者)となっています。結構多いですね・・・。

保険料納付状況

学生納付特例は卒業後に追納可能!

学生納付特例制度は、上述した様に国民年金の保険料納付を免除してくれる訳ではなく、納付を猶予してくれているに過ぎません。

従って、学校を卒業すると猶予期間が終わり納付(追納と言います)出来る様になります。といっても、卒業後すぐに納付しないといけない訳では有りません。10年以内であれば遡って追納する事が可能なのです(国民年金法第94条第1項)。

悩む女性

国民年金を払う事で将来貰える年金(老齢基礎年金)には、受給要件として保険料の納付済期間等が10年以上)有る事が必要となっています。

:従来、資格期間は原則として25年以上でしたが、平成29年8月1日からは、資格期間が10年に短縮されました(参照元:日本年金機構)。

この点、学生納付特例制度を利用している期間については、受給資格期間に含まれる事になっているのでこの期間について保険料を納付しなくても最終的には年金を貰う事は出来ます。

但し、受給資格期間に含まれる事と納付済期間に含まれる事とは別です。保険料を納付しておかないと、将来の年金額はきちんと納付した方と比べると少なくなってしまいます。

老齢基礎年金が貰えるのは65歳になってからですが、平成28年の日本人の平均寿命は男性80.98歳、女性87.14歳となっています(関連記事:平均寿命の真実。現役世代は100歳までの老後資金が必要かも。)。

一線を退いた後も長い老後生活が待っているので、年金は多いに越した事は無いですよね・・・。

従って、追納は可能な限りしておいた方が良いでしょう。

なお、追納する際の保険料については、学生納付特例制度の承認を受けた期間の翌年度から3年度目以降は、当初の保険料額に経過期間に応じた加算額(要は利息みたいなもの)が上乗せされます。

参考までに、平成29年度中に追納する場合、毎月の追納額は以下の通りとなります(国民年金法第94条第3項・国民年金法施行令第10条第1項)。

年度追納額(月額)保険料(当時)上乗せ額
平成19年度15,040円14,100円940円
平成20年度15,160円14,410円750円
平成21年度15,250円14,660円590円
平成22年度15,510円15,100円410円
平成23年度15,290円15,020円270円
平成24年度15,140円14,980円160円
平成25年度15,120円15,040円80円
平成26年度15,270円15,250円20円
平成27年度15,590円15,590円追納加算額無し
平成28年度16,260円16,260円追納加算額無し

承認を受けてから3年目や4年目は毎月の加算額が数十円なので、大した影響は無いですが、10年目にもなると毎月千円近く余分に払わないといけなくなりますね・・・。

従って、卒業後は可能な限り早めに追納した方が良いと言えますね。

なお、追納する際には国民年金保険料追納申込書の提出が必要です(国民年金法施行規則第78条)。

まとめ

いかがでしたか?

学生の間は一般的に収入が非常に少ないです。国民年金の保険料を負担に感じる方が多いでしょうから、積極的に学生納付特例制度を活用する様にしましょう。

なお、子どもの国民年金保険料を親が代わりに払ってあげても構いません。その場合は、親の所得控除(社会保険料控除)として認められます。一旦親が代わりに払っておいて、子どもが学校を卒業した後で返してもらうのも良いかもしれないですね.

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次