留学生でも年金の納付は必要なの!?

留学生
留学生

毎年、海外から多くの留学生が日本語や日本文化などを学びに日本へ来ています。

外国の方は、自身の母国で健康保険や年金に加入しているでしょうが、日本に長期留学すると海外での保険や年金は基本的に効かなくなりますよね。そこで国民健康保険と国民年金に加入する事になります。

しかし、日本に留学するからといって日本に永住する訳では無いですよね。健康保険はともかく、将来的に日本に住むかどうか分からない国で年金を支払いたいとは思わないですよね・・・きっと。

海外からの留学生も国民年金の保険料を納付しないといけないのでしょうか?

ここでは留学生の国民年金保険料の納付義務について見ていきましょう。

目次

留学生にも年金の納付義務有り!年金手帳(年金番号)も日本人と同様に交付!

年金手帳と電卓

日本国内に住んでいる全ての人は、20歳になったときから国民年金の被保険者になり、保険料の納付が義務となります(国民年金法第7条第1項1号)。

法律上は、「国籍や留学生かどうか」という例外は設けられていないので、海外からの留学生についても20歳以上で住所を持つ様になった(留学期間が1年以上)のであれば、国民年金の被保険者となりますね。

従って、海外からの留学生も原則として国民年金の保険料を納付しなければなりません

なお、年金手帳についても日本人と同様に市区町村から発行してもらう事が出来ます。重要なものなので、発行されたら無くさずに大事に保管しておきましょう。

日本語がわからないし、役所の方も英語や他の言語が分からないから、と国民年金の加入手続きをしていない留学生も結構いるようですが、必ず手続きをした方が良いです。

国民年金に加入しておけば、将来的に日本に永住する事となった際に年金を貰う事が出来ますし、万一の事故などで障害を負った際に障害基礎年金の受給資格を確保する事が出来ますよ。

ちなみに、日本に永住する際の要件として、国民年金に加入し納付している事が必要(納税義務等公的義務の履行)なので、永住を考えている方は必ず加入しておく必要が有ります。

保険料を納付しても無駄になる訳ではない?

解説する女性

「1年や2年程度の留学期間なのに、日本で年金を払って意味有るの?」と思う方もいるでしょう。

この点、留学生が国民年金を払った後で母国に帰ったからといって、払った保険料が全くの無駄になるという訳では有りません。

なぜなら、国民年金には脱退一時金の制度が有りますし(国民年金法第9条の3の2)、日本と外国との間で社会保障協定が結ばれているケースも有るからです。

以下でそれぞれの内容を見ていきましょう。

脱退一時金制度

脱退一時金制度は、国民年金の保険料を6ヶ月以上支払った外国籍の方が、日本で国民年金や厚生年金保険の被保険者資格を喪失して日本から出国した場合、日本の住所が無くなった日(住民票転出予定日)から2年以内であれば脱退一時金を請求する事が出来る、とう制度です。

要は、「留学期間中に納付した保険料の一部が後になって返って来る」という事ですね。

:脱退一時金を受け取った場合は、その対象期間は将来年金を受け取る際の国民年金の加入期間から外れる事になります。

外国人

なお、脱退一時金の申請をする場合、以下の書類を日本年金機構に提出する必要が有ります(郵送の提出も可)。

  • 脱退一時金請求書
  • パスポート(旅券)の写し ※1
  • 振込口座の資料(「銀行名」「支店名」「支店の所在地」「口座番号」「請求者本人の口座である事が分かる証明書等」) ※2
  • 国民年金手帳(その他基礎年金番号が確認出来る書類)
  • 転出予定である旨の記載された住民票の写し(転出予定日以降に書類を入手する場合は「住民票の除票」)

※1:氏名・生年月日・国籍・署名・在留資格が確認出来るページと、最後に日本を出国した年月日が確認出来るページが必要
※2:日本国内の金融機関でも大丈夫ですが、口座名義がカタカナで登録されている必要が有ります。また、ゆうちょ銀行では受取り出来ません。

ちなみに、脱退一時金として受け取る事の出来る金額は、保険料を払った期間等によって異なりますが、大体4万円?30万円程度となっています。

上限が30万円程度となっているのは、脱退一時金の計算対象月数が3ヶ月?36ヶ月となっているからですね。従って、37ヶ月以上国民年金を払っても脱退一時金の額は増えません。

但し、留学生の場合、続けて3年以上日本にいるケースはあまり多くないでしょうから、長くいれば損と考える必要は無さそうですね。

社会保障協定

握手

海外留学や海外赴任などで、母国以外の国で生活をする方が増えて来ています。

海外に引っ越す場合は、その国の社会保障制度に加入しなければならないので、母国と居住国とで保険料を二重に負担しなければならないケースが生じてしまいますよね。

また、将来年金を受け取るには一定期間その国の年金に加入しておかないといけないので、場合によっては保険料が掛け捨てになってしまう事も有ります。

そこで、国同士で社会保障協定を結び、保険料の二重負担を防止する様に二国間で調整したり、留学先等で年金制度に加入している期間を母国の年金制度に加入していた期間とみなして年金加入期間を通算し、将来年金を受け取る事が出来る様にしているのです。

2017年8月時点で、日本は以下の20カ国と協定を結んでいます。

ドイツイギリスアメリカ韓国
ベルギーフランスカナダオーストラリア
オランダチェコスペインアイルランド
ブラジルスイスハンガリーインド
ルクセンブルクイタリア フィリピン スロバキア 

:協定書に署名は済んでいるが未発効。

従って、協定を結んでいる国から日本に留学する場合は、日本で国民年金に加入しても何らデメリットは無いという訳ですね(脱退一時金を貰ってしまうと、母国の年金制度との通算は出来ません)。

支払いが困難で未納になりそうな留学生は「学生納付特例」で年金の免除申請!

海外からの留学生も日本で国民年金に加入し、保険料を納付しなければならない事が分かりました。

しかし、学生でしかも海外から日本に来る場合は、保険料を払う余裕なんて無いケースも多いですよね。

そこで登場するのが学生納付特例です。20歳以上の学生()で本人の所得が一定以下の場合、保険料の納付を免除してもらう事が出来ます。なお、本人の所得は前年所得が118万円以下(扶養親族がいない場合)で有る事が必要ですが、留学初年度は前年所得が無いので誰でも条件を満たす事になりますね。

:対象となるのは、大学(大学院)、短大、高等学校、高等専門学校、専修学校、各種学校(学校教育法で規定されている修業年限が1年以上の課程)に在学する学生等です。なお、海外に有る大学の日本分校(テンプル大学ジャパンや国際連合大学など)で、文部科学大臣が個別に指定した課程については、日本の大学や専門学校等と同様に免除の適用が有ります(参照元:日本年金機構「学生納付特例対象校一覧」)。

喜ぶ外国人

従って、留学中に国民年金保険料を払う資金力が無いのであれば、免除申請を必ずしましょう。

国民年金に加入していれば、年金の加入期間としてカウントされますし、障害基礎年金の受給資格を確保する事が出来ますが、これは保険料をしっかりと納付している事が前提です。未納だと国民年金の恩恵は受けられませんよ!

免除の申請をする際は、申請書と一緒に学生証若しくは在学証明書を市区町村の窓口か年金事務所に提出すればOKです。

なお、保険料の免除申請は年度ごとにする必要が有ります。1枚の申請書で申請出来るのは1年分(7月から翌6月まで)なので、複数の年度にわたって免除申請をする場合は、申請書を年度に応じた枚数提出しなければなりません。

学生納付特例は留学生に限った制度ではなく、日本人の学生でも多くの方が利用しています。学生の期間中は国民年金の納付義務が免除され、卒業してお金に余裕ができたときに、遡って保険料を納付する事が出来る便利な制度ですよ。

20歳を超えた学生は学生納付特例の利用が必須!追納するか否かの判断も解説

留学生が将来的に日本で就職した場合の年金は?

当初はちょっとの間日本に留学するつもりだったのに、日本が気に入ったり恋人が出来た事などで、そのまま日本に滞在して就職も日本でする事になった、というケースも有るでしょう。

その場合、年金はどうなるのでしょうか。

働く外国人

この点、過去に国民年金に加入していた外国籍の方が、日本で就職する場合、日本の企業で厚生年金に加入する事になります。

従って、国民年金に加入した状態で就職するのであれば、国民年金から厚生年金への切り替えが必要です。

とはいっても、手続き自体は勤務先がしてくれるので、年金手帳を勤務先に提出すればOKです。

なお、個人商店など厚生年金の強制適用事業所でない職場で働く場合は、国民年金のままで構いません。

参考:留学生が引き続き日本で就職する場合は、学生ビザから就労ビザに切り替える必要が有ります。

補足:日本人が海外留学した場合、国民年金はどうなる?

ここまで、海外から日本に来た留学生の話をして来ましたが、逆に日本人が海外に留学する場合、国民年金はどうなるのでしょうか?

この点、国民年金の取扱は留学の期間によって異なります。

日本人留学生

まず、数週間?数ヶ月程度の留学の場合は、通常は住所変更をせず日本に住んでいるのと扱いが変わらないので、国民年金は強制加入となり保険料の納付義務も有ります(日本の大学等に在学したまま留学するのであれば、学生納付特例の適用有り)。

一方で、留学期間がおおむね1年以上となる場合は、強制加入の対象ではなくなるので、国民年金を払いたくなければ納付免除の手続きも出来ますし、任意加入被保険者として保険料を払い続ける事も出来ます(国民年金法第5条第1項3号)。

任意加入の手続きをして保険料を納付しておけば、保険料納付済期間にカウントされるので、将来の年金額もアップしますよ。

参考:納付免除を選ぶと、海外在住中の年金納付は不要となります。カラ期間にカウントされるので、帰国後10年以内であれば追納する事も可能。納付しなかった場合は、将来の年金受給額が減ります。また、海外在住中に死亡や病気・ケガで障害が残っても、遺族基礎年金や障害基礎年金は貰えません。

但し、任意加入の場合は強制加入ではないので、学生納付特例の申請は出来ないという点に注意が必要です!

任意加入をする場合は、住んでいる地域の市区町村窓口に海外転出届を提出して住民票を抜いた上で手続きをしましょう。

そして、帰国した際は、再度強制加入被保険者となるので、転入した市区町村役場で年金の手続きをしましょうね。

参考:一時帰国で短期間だけ国内に住所を有した場合でも、その期間は強制加入被保険者となります。

まとめ

いかがでしたか?

海外からの留学生も国民年金に加入しなければならない事が分かりましたね。また、保険料については払えるのであれば払って、払うのが難しいのであれば積極的に学生納付特例を使って納付の免除申請をしましょう。

脱退一時金制度や社会保障協定が有るので、国民年金に加入せずに困る事は有っても加入して困る事は有りません。必ず市区町村役場に行って説明を受けた上で加入しましょうね。

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