国民年金の保険料は毎月滞りなく納付出来ていますか?
勤務先で厚生年金に加入している方は、毎月の給料から保険料が天引きされるので未納に陥る事は無いですが、自営業や勤務先を退職した方などが加入している国民年金は違います。
国民年金は、各自で毎月保険料(平成29年分は月額16,490円 ※)を納付しなければなりません。従って、収入が少なかったり資金繰りがうまくいかない様な場合は、保険料の納付が困難になるケースも出て来るでしょう。
※:16,900円×(改定率)0.976=16,490円(参照元:日本年金機構)
そんな場合に活用したいのが国民年金の保険料免除制度ですね。保険料を納付するのが経済的に困難な場合は申請する事で保険料の免除が受けられるのです。
ここでは、国民年金の免除申請をする際の手順や必要書類について解説していきます。
国民年金の免除制度とは?
国民年金の免除制度とは、毎月の保険料を納付するのが経済的に困難な方が、一時的に保険料の免除を受けられる制度です(国民年金法第90条)。
保険料の免除には「全額免除」と「一部免除(4分の3・半額・4分の1)」とが有り、本人(配偶者や世帯主を含む)の前年所得に応じて、どれだけの免除が受けられるのかが決まります。
参考:失業や災害を理由として保険料の免除を受ける場合は「特例免除」といい、前年所得の大小に関わらず免除を受ける事が出来ます。
国民年金の保険料は納付が義務なので、免除申請をせずに滞納をしていると財産の指し押さえをされる可能性が有ります。また、未納の状態だと将来年金を貰う際の受給資格期間に含まれないですし、年金額も増えません。
⇒国民年金の未納期間・未納分があるといくら減額されるのか?具体例付きで解説
一方で、保険料の免除が認められると、免除されている期間については受給資格期間に算入されるので、保険料を払っていなかったとしても年金は貰う事が出来ます。
参考:保険料の免除を受けた方が将来貰える年金は、全期間保険料を納付した方と比べると少なくなります。
従って、保険料を払うのが厳しいのであれば無理をして保険料を払うよりも、免除申請をしてしばらくの間保険料の免除を受けた方が健全という訳です。
免除を受けたとしても、一定期間であれば後から追納する事も出来るので、貰える年金が減る点についてもそこまで深刻に考える必要は有りません。
学生は年金の免除申請ではなく学生納付特例の申請を!
20歳になると、国民年金への加入が義務となり保険料の納付が必要となりますが、学生の方は日々生活するだけで一杯一杯で、「年金なんて支払っていられない!」という方も多いでしょう。
しかし、学生は国民年金の保険料の免除申請をする事は出来ません。
ではどうするかというと、学生は専用に用意された学生納付特例制度を使う事になります。
学生の間は保険料の納付を猶予してくれて、卒業してから10年間は追納する事が出来る非常に便利な制度です。よほどお金に余裕の有る学生以外は、迷わずにこの制度を利用した方が良いでしょう。
国民年金の免除申請方法や手順
以下では、国民年金の保険料免除申請をする際の必要書類や、申請場所等について解説していきます。
免除申請に必要な書類や提出場所
国民年金の保険料免除申請をするには、まず「国民年金保険料免除・納付猶予申請書」が必要です。これは、日本年金機構のホームページからダウンロード出来るので、あらかじめプリントアウトして記入例を参考に記入しておくと良いでしょう(窓口で用紙を貰って書くのでも構いません)。
日本年金機構が、申請書の記入方法を動画で紹介しているので、こちらも参考にしてみて下さい。
参考:申請書類のセルフチェックシートも公開されています。記載例や動画を見ればまず間違える事は無いと思いますが、念のためこちらもチェックしておくと良いでしょう。
申請書の他に必要となる添付書類は以下の通り。なお、表中の○は必ず提出が必要なもの、△は場合によっては必要となるもの、という意味です。
要否 | 必要書類 | 備考 |
---|---|---|
○ | 年金手帳又は基礎年金番号通知書 | ー |
△ | 前年(又は前々年)の所得を証明する書類 | 原則として不要 |
△ | 所得の申立書 | 税金の申告をしていない場合に必要 |
△ | 雇用保険受給資格者証の写しまたは雇用保険被保険者離職票等の写し | 失業等による申請の場合に必要 |
申請が失業等による場合は、以下の書類が別途必要になる事が有ります。
要否 | 必要書類 | 備考 |
---|---|---|
△ | 厚生労働省が実施する総合支援資金貸付の貸付決定通知書の写し及びその申請時の添付書類の写し | ー |
△ | 履歴事項全部証明書または閉鎖事項全部証明書 | ー |
△ | 税務署等への異動届出書、個人事業の開廃業等届出書または事業廃止届出書の写し | 税務署等の受付印のあるもの |
△ | 保健所への廃止届出書の控 | 受付印のあるもの |
△ | その他、失業の事実が確認出来る公的証明書等 | ー |
つまり、「年金手帳又は基礎年金番号通知書」だけが絶対に必要な添付書類で、他については申請者の状況によって異なるという事です。税金の申告をしていない方や失業等の方については、あらかじめ必要な書類を確認しておいた方が良さそうですね。
必要書類が揃ったら、自分の住民登録をしている市区町村役場の窓口または年金事務所に行って書類を提出しましょう。
参考:国民年金の免除申請は市区町村役場で手続きをする代わりに、キャリアンク株式会社や日立トリプルウィン株式会社といった「指定全額免除申請事務取扱者」に書類を提出するのでもOKです。具体的には、年金機構からターンアラウンド用(往復ハガキの様なもの)の免除申請書が届いた際に、納付案内で個別訪問をして来た業者に申請書を渡す方法ですね。
年金の免除申請は郵送でも可能!
年金の免除申請は原則、市区町村役場の窓口に提出する事になりますが、窓口に行く代わりに郵送でも申請が可能です。
郵送する場合は、申請書(※)に必要事項を記入し、添付書類と一緒に住民登録をしている市区町村役場に送ればOKです。
※:ホームページから申請書をプリントアウトして提出する場合は、「提出用のみの提出」となります。但し、記入した内容が後から分かる様にコピーを取って保管しておいた方が良いでしょう。
保険料の免除申請が出来る期間
国民年金の保険料免除申請をする際の申請年度は「7月から翌年6月末まで」となっています。
例えば、9月に免除申請をした場合、受理されれば翌年の6月末までの保険料が免除されるという訳ですね。
なお、国民年金の保険料免除は、「納付期限から2年を経過していない分(※)」であれば遡って申請をする事が出来ます(既に納付済みの月は遡って免除する事は出来ません)。
※:国民年金は当月分翌月納付が原則なので、2年を経過していない分という事は「申請時点から2年1ヶ月前までの期間」について遡って申請出来る、という事ですね。
具体的には、平成29年10月以降に免除申請期限が到来する保険料は以下の通りです。
保険料 | 納付期限 | 免除申請期限 |
---|---|---|
(平成)27年9月分 | (平成)27年11月2日 | (平成)29年11月2日 |
27年10月分 | 11月30日 | 11月30日 |
27年11月分 | (平成)28年1月4日 | (平成)30年1月4日 |
27年12月分 | 2月1日 | 2月1日 |
(平成)28年1月分 | 2月29日 | 2月28日 |
28年2月分 | 3月31日 | 3月30日 |
28年3月分 | 5月2日 | 5月2日 |
28年4月分 | 5月31日 | 5月31日 |
28年5月分 | 6月30日 | 6月29日 |
28年6月分 | 8月1日 | 8月1日 |
28年7月分 | 8月31日 | 8月31日 |
28年8月分 | 9月30日 | 9月28日 |
28年9月分 | 10月31日 | 10月31日 |
保険料を払うのが苦しいからといって即座に免除申請する必要はないので、じっくりと申請するかどうか考える事が出来ますね。
免除申請の結果通知はいつ送られて来る?
免除の申請をしてから、審査が終わるまでは大体2?3ヶ月くらいかかります。審査期間は結構長いので、途中でちゃんと免除されるのか不安になってしまいそうですね・・・。審査が終わって無事免除される事に決まると、審査結果(決定通知書)が自宅に送られて来ます。
なお、決定通知書が送られて来るまでの期間は、電話や訪問により保険料の納付案内をされる事が有りますが、その場合は「免除申請中です」と答えればOKです。
参考:申請日以降に申請期間の保険料を納付した場合、後日還付してもらう事が出来ます。
年金の免除申請が通らない(却下された)場合
保険料の免除は、明確な所得基準が定められているので、基準を満たしている方が正しく申請をする限り審査で却下される事はまずないでしょう。
却下された方の話を聞くと、配偶者の所得が有り、それが基準に引っかかっていたというケースが多い様です。
参考:上述した様に、学生は免除を受ける事が出来ないので、免除申請をしてもそもそも受理されないでしょう。
では、万が一審査で却下された場合はどうなるのでしょうか。
この点、却下された場合は通常通り保険料の納付が必要となります。納付書が手元に無い場合は年金事務所で再発行してくれるので、連絡をしましょう。
なお、以下の様な場合は過去に免除申請が却下されていても申請出来る事が有るので、一度年金事務所に問い合わせてみる事をオススメします。
- 特例申請をしたが、申請が遅れたために免除が認められなかった
- 免除が却下となった後で、申告や修正申告等により配偶者や世帯主の所得が変わった
- 免除が却下となった後で、離婚したり世帯主の変更があった場合
年金の免除申請は毎年必要?
保険料の免除は基本的に前年の所得をもとに決定されるので、毎年申請が必要です。
但し、最初に申請書を提出する際に、以下の様に「⑭継続希望区分」の欄を「1.する」に○をしておけば、翌年度以降改めて申請をしなくても「継続して申請があったもの」として審査が行われます。
つまり、次年度以降も免除を受けようと考えている方は、実質的に最初に一度だけ申請書を提出すればOKという事です。
とはいっても、毎年年金の免除を受けていると老後に貰える年金が少なくて困る事になります。可能な限り早い段階で免除を終わらせて保険料を納付する様にしましょうね。
なお、免除申請が失業等による場合(特例申請)は翌年度以降も毎年申請をしなければなりません。
まとめ
自営業がうまくいっていなかったり、会社を退職したりすると毎月の国民年金を納付するのがつらくなりますよね。
保険料を滞納するよりは、免除申請をして保険料の免除を受けた方が不利益を被る事がないのでオススメですよ。
免除申請は慌ててする必要はないですが、遡って申請出来るのは2年分までという決まりが有るので、そこだけは忘れずに!
なお、20歳?50歳未満の方は保険料の免除とは別に保険料の猶予制度も有るので、そちらも活用してみてはどうでしょう。