年金証書とは「年金を受給する権利があることの証明書」のことで、とても大切なものです。紛失しないように大事に保管をしておく必要があります。
ただ・・・
「なんだか色々書いてあるけど、よくわからない・・・」
「年金証書が送られてきたけど、本題の年金はいつ振り込まれるの?」
初めて年金を受給する人は戸惑うことも多いと思います。
以下、この記事では「年金証書の詳細な意味や見方、”年金証書の送付から年金振込までのタイミング”」などを分かりやすくまとめていきます。
また、もし年金証書を紛失してしまったときの再発行方法も解説していますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
年金証書は年金受給権者の大切な身分証明書
先ほども書きましたが、年金証書は簡単に言えば「年金を受給する権利があることの証明書」です。
年金は、たとえ受給資格を満たしていても、自動的に受給できるようになるわけではありません。自分で年金を請求して、受給する権利が認められて初めて実際に年金が振り込まれます。
年金証書は、「あなたの年金請求は認められました。あなたは確かに年金を受け取れますよ」という証明書なのです。
参考元:年金証書|日本年金機構
年金証書が必要となるときは?
年金を受給する前までは、年金に関わる手続きには年金手帳が必要でした。しかし年金を受給できるようになると、年金手帳に変わって年金証書が年金関係の手続きで必要となってきます。
具体的には、以下のような場合に年金証書が必要になります。
- 年金の各種手続き時(不要な場合もあり)
- 年金受給者本人が死亡した時に遺族が未支給年金などを請求する時(参考:年金受給者が死亡した時の手続きまとめ【記事未了】)
さらに、年金証書は所得の証明としても使えます。例えば、以下のようなケースが該当します。
- クレジットカードを作成するとき
- 年金担保貸付を受けるとき(2022年の3月末に廃止予定)
以上、さまざまな場面で年金証書が必要になりますので、必ず無くさないように大切に保管しておきましょう。
年金証書の見方
年金の受給権が認められると、年金請求から約2ヶ月後に年金証書が送付されてきます。
年金証書の見た目はこんな感じです。
(画像出典:年金証書(年金決定通知書)における厚生年金基金の加入月数などの表示漏れ|日本年金機構)
年金証書は、上部の「国民年金・厚生年金保険年金証書」と下部の「厚生年金/国民年金 年金決定通知書」で構成されています。
以下、それぞれの部分について詳しく見方を説明していきますね。
「国民年金・厚生年金保険年金証書」部分
まず、Aの部分にあなたの「基礎年金番号」と「年金コード」が記載されています。
年金コードとは、あなたがどんな種類の年金を受給するかという分類です。例えば、老齢年金は「1150」という4桁の数字で表されています。
ちなみに年金コードの一覧はこちらです。
(画像出典:年金コードとは|日本年金機構)
Bの「受給権を取得した年月」とは、文字通りあなたが受給権を取得した年月のことです。ただし、この年月分から年金が支給されるわけではないので注意です。(詳細は次のセクションにて解説)
「厚生年金/国民年金 年金決定通知書」部分
この部分は、さらに上下で「厚生年金」部分と「国民年金」部分に分かれています。
色んな数字が書いてあって、どこをどう見たら良いかわかりにくいと思いますが、大切なのは赤枠で囲った①~④です。
①厚生年金の支給開始年月
②厚生年金の年金額(円)
<国民年金 年金決定通知書>
③国民年金の支給開始年月
④国民年金の年金額(円)
実際に年金支給が始まる年月:①、③
振り込まれる年金額(合計):②+④
先のセクションでも軽く触れましたが、実際に年金が支給されるのはB「受給権を取得した年月」ではなく、①、③の「支給開始年月」の分からです。
「受給権が発生した月からもらえるんじゃないの?」と思う人も多いのですが、国民年金法では、
年金給付の支給は、これを支給すべき事由が生じた日の属する月の翌月から始め、権利が消滅した日の属する月で終るものとする。
引用元: 国民年金法 第十八条
と定められています。つまり、受給権が発生した翌月分から年金が支給されるようになっているのです。
例を挙げると、4月に受給権が発生した場合、実際に支給が開始されるのは5月分からということになります。この場合、年金証書の「受給権を取得した年月」には4月、年金決定通知書の「支給開始年月」には5月と記載され、5月分以降の年金が振り込まれるようになります。
また、年金決定通知書には色んな金額が記載されていますが、実際に支給されるのは②と④の金額です。それ以外の部分は②と④を計算するための元となる金額で、支給される金額ではないので注意しましょう。
なお、年金額は「1年間に支給される合計額」ですので、実際は2ヶ月に1度(年6回)、年金額を6で割った金額が振り込まれます。
障害年金の受給者はココもチェック!
障害年金の受給者の場合は、右下の「Ⅲ 障害基礎年金の障害状況」もしっかり確認しておきましょう。
この部分には、障害の等級や、次回診断書提出年月が記載されています。自分が何級に認定されたのか、また、次に診断書を提出しなければならない更新日はいつなのかを忘れずにチェックしておきましょうね。
年金証書に記載の支給額は実際とは違う!?
年金証書が手元に届いたとき、年金額を確認すると「あれ、想定してた金額よりずっと低い!」と驚くケースがよくあります。
不安になるかもしれませんが、安心してくださいね。年金証書に記載された年金額と実際に支給される年金額が違うことはよく起こります。
なぜなら、年金証書に記載されているのは受給が決定した時点での年金額で、実際の振込時には金額が変わっていることがあるからです。(金額が変わる理由は後述)。
受給決定後に年金額が変更された場合は「支給額変更通知書」が届きます。実際に振り込まれるのは、この通知書に記載された変更後の金額となります。
<支給額変更通知書>
(画像出典:「ねんきんネット」による年金の支払いに関する通知書の確認|日本年金機構)
なお、年金額が変更される事由は色々ありますが、よくあるのが在職老齢年金制度が適用された場合です。
参考:恐怖の在職老齢年金とは?働きながらだと年金が支給停止に!?【記事未了】
年金を請求した時点でまだ会社に勤めていると、収入が多いので支給される年金が一部停止されることがあります。
しかし、その後退職して収入が減れば、停止されていた年金が支給されますので、見込み額に近い年金を受け取れるようになるというわけです。
年金の請求~実際の振込日までのタイミング
年金が受給できることが決まったら、いつ実際に振り込まれるのかが気になりますよね。
目安として、年金の請求~振込までには、3~4ヶ月ほどかかります。
少し時間はかかりますが、支給開始年月分以降の年金はきちんとまとめて初回に振り込まれますので、気長に待つようにしましょう。
なお、年金の請求から振込までの流れは以下のようになっています。
初回の年金の振込日や、一般的な年金の支給日についての詳細は「年金支給日がいつか分かる早見表!」にてまとめていますので、そちらもご参照くださいね。
年金証書を紛失した時の再発行方法
万が一、年金証書を紛失またはき損してしまった場合、再発行(再交付)が可能です。手続き方法は以下のとおりです。
提出書類:年金証書・改定通知書・振込通知書 再交付申請書(申請先の窓口、またはねんきんダイヤルに電話すれば郵送にて入手可能)
持参物 :本人確認書類・印鑑(き損の場合は手元の年金証書・代理人が提出する場合は委任状)
なお、直接窓口にて申請した場合は即日で再交付ができる場合もあります。即日再交付ができない場合は、提出後3週間ほどで、日本年金機構へ登録されている住所へ郵送で送られてきます。
ただし、以下の場合は年金証書の再交付ができませんので注意しましょう。
・本人が死亡している場合
年金証書はあなたの受給権を証明する大切なものです。紛失やき損をしてしまった場合、すみやかに再交付の手続きをしておきましょう。
まとめ
年金証書が届いたら、記載内容や実際の振込み予定がわからずに悩んでしまう人も多いと思います。ぜひこの記事を参考に、あなたの年金額や振込み予定を確認してくださいね。
それでは最後に、年金証書の見方と実際の振込み日についておさらいしておきましょう。
支給開始:「厚生年金/国民年金 年金決定通知書」の各「支給開始年月」分から
振込み日:年金証書到達から約50日後(年金請求から3~4ヶ月後)
また、年金証書は、年金関係の手続き・本人確認・所得証明で必要となる大切な書類です。再発行は可能ですが、なるべく無くさない大切に保管しておいてくださいね。