悩む女性

「国民年金保険料の2年前納、お得って聞くけどなにか大きな落とし穴がありそうだな・・・、あるなら事前に知っておきたい!

このような理由でこちらのページに来られた人が大半だと思います。

ただ、安心してください。2年前納に関してはメリットを超えるほどのデメリットは正直存在しません。本文でも書いていますが、2年前納するだけで国民年金保険料1ヶ月分(約16,000円分)の割引が受けられますからね。基本的に、お金があるのであれば2年前納すれば良いと思います。

ただ、知っておかないと少し損をしてしまうかな!というデメリットはあります。今回の記事では2年前納を決断する前に知っておいて欲しいデメリットを紹介していきます。

申込をする前に知っておきたい!国民年金を2年前納するデメリットとは?

「こんな事になるなら2年前納するんじゃなかった・・・。」と後で思わない様に、ここでは2年前納によるデメリットをみていきましょう。

手元からお金がなくなる!

女性の手元からお金が去っていく

これは当然のことですね。2年分の保険料を前払いする訳ですから、それだけ手元からお金が一気になくなります(口座振替の場合、振替日は4月末です)。クレジットカードで払えば、少しだけ口座から引き落とされるタイミングを遅らせる事は出来ますが、それでもあまり変わらないですよね。

:クレジットカードで払いの場合は一括払いのみです。分割払いやリボルビング払いは出来ません。

毎月口座から定額が引き落とされるという、安定した資金繰りを保っていたのに、2年前納をするといきなり40万円程の大金が口座から引き落とされる事になります。

お金に余裕がある方であれば問題ないですが、ギリギリの生活をしている方にとっては死活問題になりかねません。必ず自分の財布とよく相談した上で2年前納するかどうかを決めましょう。

クレジットカードでも2年前納出来る様になったが、割引率は低い!

クレジットカード

国民年金の保険料を納付するには、今のところ以下の4つの方法が有ります。

  • 現金(金融機関の窓口・コンビニ)
  • 口座振替
  • クレジットカード
  • ペイジー(Pay-easy)

パッと見た感じ、クレジットカードでの納付がポイントが貯まるので一番得そうですよね。しかも、国民年金の保険料を納付する際は、手数料を取られる事が無いので、純粋にポイントを稼ぐ事が出来ます。

手数料無料でクレジットカードのポイントが貯まるなんて至れり尽くせりな気もしますが、これにはちょっとした落とし穴が有ります。

というのも、口座振替で2年前納をする場合と比べると、現金やクレジットカードで2年前納した場合の保険料割引額は小さくなってしまうのです!

具体的には以下の通りです(平成30年度と平成31年度の保険料を前納した場合)。

納付方法保険料割引額
口座振替377,350円15,650円
クレジットカード378,580円14,420円

口座振替で払うよりも、割引額が1,230円少ないですね。同じ2年前納なのに、支払い方法を変更するだけで割引額が減ってしまうなんてもったいない!

クレジットカードで前納する場合は、「国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書」を記入して提出しなければなりません。税金のクレジットカード払いの様にネット上で完結出来ればいいんですけどね・・・。今後の課題ですね!いずれは対応してくれそうな気はします。

ただし、クレジットカードで支払うとポイントが付きますね。割引額が少なくなるのでもったいないのは間違いないのですが、ポイントを考慮すればやはりクレジットカードで支払うのが一番オトクです。

例えば、ポイント還元率1%のクレジットで支払った場合の実質割引額を見てみると以下のような感じです。

納付方法保険料割引額
口座振替377,350円15,650円
クレジットカード378,580円14,420円
クレジットカード
(ポイント還元率1%)
378,580円18,205円
(14,420円+3,785円)

もし支払うのであれば、還元率1.2%のリクルートカード還元率1%の楽天カードなどが良いでしょう。

なお、クレジットカードで2年前納をする場合は、カード利用限度額に注意してくださいね。利用限度額を超えてしまった場合は、前納出来ずに毎月納付の扱いになってしまいますよ。

前納の申し込み期限が毎年2月末!

砂時計

2年前納の申込は、「思いついたときにいつでも出来る!」という訳ではないです。毎年2月末までに前納の申込をしなければなりません。もし、この期限に間に合わなかった場合は、当年度分は毎月納付となってしまいます。

「いち早く保険料の割引を受けたい!」「今年は所得がたくさん出そうだから、何としても2年前納で節税を!」という様な方は、必ず期限に間に合う様に申込をしましょう。郵送で提出する場合は、投函してから到着までに日数がかかるので、その点も考慮して早めの申込を!

前納の申込は金融機関か年金事務所の窓口に「国民年金保険料口座振替納付(変更)申出書」をすればOKです(「⑩振替方法」の欄を5の「2年前納」に丸)。

【注意】年払いした人が社会保険に加入すると修正申告が必要!

注目と書かれた黒板

国民年金に加入している方は主に無職や自営業、専業主婦等ですが、もし近い将来会社勤めをしようと考えているのであれば注意が必要です。

なぜなら、国民年金と厚生年金は同時に加入する事ができないからです。従って、もし2年前納している期間中に会社勤めをスタートして厚生年金に加入した場合、未経過の年金保険料については還付されることになります。(参考:国民年金保険料の還付手続きまとめ

お金が戻って来るので別に損をするという訳ではないのですが、場合によっては修正申告が必要なのです。

例えば、平成29年に2年分の国民年金保険料を前納して、平成29年に全額所得控除を受けたものの、平成30年に会社勤めをスタートした様なケース。

この場合は、就職した後の前納保険料が還付されることになります。しかし、既に平成29年分の確定申告で全額所得控除を受けているので、「所得控除が多すぎた」という事になります。

従って、平成29年分については修正申告をして、追加の所得税・住民税を支払わなければなりません。これは結構面倒ですね・・・。

なお、全額ではなく平成29年分だけ所得控除にしていた(後述します)のであれば、還付されても特に手続きは必要ないですね。

国民年金を2年前納するメリットは?

疑問を持つ女性

年金機構としては、みなさんが前納をしてくれると嬉しいです。

それはなぜかというと、2年分前払いしてくれるのでその間は年金の滞納が発生しないからですね。

国民年金は未納率が35%前後と、滞納している人が結構多いです。少しでも確実に未納分を無くしたいので、前納は大歓迎というわけですね。

また、毎月納付をしてもらうよりも2年分一気に前納してくれた方が事務手続きも楽となります。

では、みなさんにとってのメリットって何があるのでしょうか?「2年分前払いしてくれたら嬉しいな」と役所が言って来るだけでは、もちろん払おうなんて思わないですよね。

そこはちゃんとメリットが用意されています(年金機構が意図してないものもあるでしょうけどね)。以下では、2年前納するメリットについて見てみましょう。

保険料が安くなる!割引額は約1ヶ月分!

財布を持って喜ぶ女性

国民年金の保険料を2年前納する最大のメリットといえば、やはり保険料の割引が受けられる事ですね。

デメリットのところで、割引額については少し触れましたが再度みておきましょう。

前納しない場合の保険料と、2年前納した場合の保険料は以下の通り。

納付方法保険料割引額
毎月納付
(口座振替)
393,000円 0円
2年前納
(口座振替)
377,350円15,650円
(月額換算約650円)
2年前納
(現金・クレジットカード)
378,580円14,420円
(月額換算約600円)

:30年度は月16,340円、31年度は月16,410円

前納をすれば、2年分で15,650円も安くなりますね!月に換算すると約650円と大した事ない様に見えるかもしれないですが、仮に20年の間毎回前納し続ければトータルで15万円以上お得ですよ。

更に言うと、クレジットカードで支払いをすればポイント分だけ更にお得になりますよ。

社会保険料控除として使う金額に融通がきく!

社会保険料控除

国民年金の保険料は、支払った額が全額その年の所得控除(社会保険料控除)になる、これが原則です。

となると、基本的に2年前納をするとその年に全額社会保険料控除となります。前納した年に所得控除が大きくなるので、節税対策としてはアリですよね。

しかし、前納分を全額一気に所得控除として使ってしまうと、翌年の年金分の所得控除はゼロになってしまいます。前納した年の所得が他の年と比べて多額な場合は良いかもしれませんが、所得が少ない年に前納してしまうと損ですよね。

だけど心配いりません!2年前納した場合は、必ずしもその年に全額所得控除としないといけない訳ではありません。

1年ごとに分割して社会保険料控除にする事も可能なのです(参照元:国税庁)。

2年分一気に使ってもいいですし、1年分ずつ使い分けても良いので、所得の状況によって融通をきかせられるのが良いですね。

簡単な計算例を用いて社会保険料控除を一気に使った方が良いのか、それとも各年分に振り分けて使った方が良いのか確認

電卓を持つ女性

簡単な計算例を見てみましょう。平成29年4月に2年分を前納した場合、各年分の社会保険料控除対象額は以下の通りです(分かりやすくするため、下記以外の期間は年金は支払っていないものとする)。

  • 平成29年分(平成29年4月〜12月):141,870円
  • 平成30年分(平成30年1月〜12月):189,160円
  • 平成31年分(平成31年1月〜3月):47,290円
  • 合計:378,320円

なお、所得税率は、課税所得金額の大小によって適用税率の変わる超過累進税率を採用しており、税率は所得金額に応じて異なります。念の為、所得金額に応じた税率を掲載しておきます。(参照元:国税庁)。

所得金額所得税率控除額
195万円以下5%0円
195万超~330万以下10%97,500円
330万超~695万以下20%427,500円
695万超~900万以下23%636,000円
900万超~1,800万以下33%1,536,000円
1,800万超~4,000万以下40%2,796,000円
4,000万円超45%4,796,000円

それでは実際に計算例を見ていきましょう。

■ケース1:平成29年の所得が300万円、平成30年の所得見込額が300万円の場合■

この場合、平成29年に全額所得控除を使った場合と、各年分に振り分けた場合とで、所得税額は以下の様な差が出ます(所得金額の時点で、国民年金以外の控除は考慮済み)。

平成29年控除を29年に一気に使った場合各年に振り分けた場合
所得金額3,000,000円3,000,000円
前納分の控除額378,320円141,870円
課税所得金額2,621,680円2,858,130円
所得税額164,600円188,300円
:復興特別所得税は考慮していません。

平成29年については、控除額を一気に使った方が所得税額は当然低くなります。控除を一気に使った方が23,700円(188,300円-164,600円)安いですね。

続いて平成30年の税額。

平成30年控除を29年に一気に使った場合各年に振り分けた場合
所得金額3,000,000円3,000,000円
前納分の控除額0円189,160円
課税所得金額3,000,000円2,810,840円
所得税額202,500円183,500円

平成30年については、控除を一気に使った場合は控除額がゼロです。一方で、各年に振り分けた場合は通常通り控除が受けられます。その結果、各年に振り分けた方が19,000円税金が安くすみます。

トータルで考えると、前納して一括で控除額を使った方が4,700円税金が安くなりました(23,700円−19,000円)。

といっても、この差は平成31年分の国民年金保険料を所得控除として使ったかどうか、によるものです。各年に振り分けた場合は平成31年分の保険料はまだ所得控除に使ってないですからね。

所得が同じであれば、基本的にトータルでの節税額は特に変わらないので、どちらの方法をとっても問題ありません。

納得するカップル

■ケース2:平成29年の所得が300万円、平成30年の所得見込額が800万円の場合■

次に、所得が平成29年と平成30年とで大きく異なるケースを見てみましょう。

■平成29年分の税額

平成29年控除を29年に一気に使った場合各年に振り分けた場合
所得金額3,000,000円3,000,000円
前納分の控除額378,320円141,870円
課税所得金額2,621,680円2,858,130円
所得税額164,600円188,300円

こちらはケース1と同じですので、特にコメントなし。

次に平成30年です。

平成30年控除を29年に一気に使った場合各年に振り分けた場合
所得金額8,000,000円8,000,000円
前納分の控除額0円189,160円
課税所得金額8,000,000円7,810,840円
所得税額1,204,000円1,160,300円

平成29年に前納分を全部使った場合は平成30年の控除はゼロです。一方で、各年に振り分けた場合は通常通り控除があるので、こちらの方が税額は低くなります。各年に振り分けた方が43,700円安いですね。

結果的に、前納分を各年に振り分けた方が20,000円(43,700円−23,700円)安くなりました。この様に、前納した翌年の所得が大きい場合は、控除を一括で使うよりも各年に振り分けた方が得、という事ですね。

前納した分を一気に使うか、各年に振り分けるかは前納した翌年の確定申告期限(3月15日)まで悩む事が出来るので、どちらが得になるかよく考えてから決めましょう。

なお、配偶者等の国民年金を代わりに払えばその分も所得控除の対象となるので、税率が一番高い人が年金を支払う様にすると良いですよ。

前納後に保険料が免除された場合は、払った分を還付してもらえる!

これは元々保険料を前納するデメリットでした。

というのも、前納をした後で大病を患ったなど何かしらの事情により収入がなくなり、保険料が免除されるケースがありますよね。その場合に、「既に払ってしまった保険料はどうなるの?」という問題がありました。

これが従来は払い損だったのです。つまり、前納した期間中に保険料の免除対象者になっても、払った保険料は返してもらえず、保険料の減免が受けられるのは前納期間が終わってからという残念な状況だったという訳ですね。

お金を積み上げる女性

そんな状況を改善すべく、平成26年4月以降は、前納後に保険料免除に該当する様になった場合の保険料の取り扱いが以下の通りとなりました。

  • 法定免除の場合・・・還付または納付(納付済期間にする)の選択が可能
  • 申請免除の場合・・・還付

(参照元:国民年金法93条、国民年金法施行令9条、国民年金法施行規則80条)

2年後に自分がどうなっているかなんて、特に自営業の方は予想が出来ないですからね・・・。これで、払い損になる事はないので、安心して2年分前納することが出来ますね。

最後に

ポイントと言ってる女性

国民年金の2年前納をする前に知っておきたいデメリットを紹介してきました。

事前に知っておけばどうという事のないものばかりですよね。むしろ、保険料が割り引かれるし、万が一免除対象者となった場合も還付が受けられるので、メリットの方が大きいでしょう。デメリットを知った上で、「大丈夫!」と思ったら一気に2年分前納するのも良いと思いますよ!

注:ただし、保険料の一部免除を受けている方は"口座振替"による前納制度は利用できません。ご注意下さい(参考元:国民年金前納割引制度(口座振替 前納)|日本年金機構

ちなみに付加年金は支払っていますか?月400円払うと将来貰える年金額が増えますよ(将来受給開始後2年で元が取れる)。まだ払っていない方は、2年前納する際に一緒に検討してみてはいかがでしょうか。

また、「国民年金と付加年金だけでは不安だ!」という方はiDeCoもオススメですよ。

おすすめの記事