働き方が変わったら、加入する年金制度も変わります。
就職した場合は国民年金→厚生年金へ、退職した場合は厚生年金→国民年金へ切り替える必要があります。
しかし、自分で手続をしなければいけないのか、保険料はいつまで支払うべきなのか・・・年金は大切なものだからこそ、気になってしまいますよね。
そこで、この記事では年金の切り替えの手続方法や、切り替えにまつわる様々なお悩みについて解説していきます。
切り替え前後の保険料の納付は特にわかりにくいので、未納や過払いを防ぐためにもぜひ読み進めていってくださいね。
国民年金から厚生年金への切り替え
第1号被保険者や第3号被保険者が会社員や公務員になった場合、国民年金→厚生年金へ切り替える必要があります。
とは言っても、手続自体は会社がすべて代行してくれるので、あなた自身が特段何かする必要はありません。年金手帳を提出するくらいです。
なお、もし年金手帳を紛失してしまった場合は再発行する必要があります。再発行の方法について詳しく知りたい場合は以下の記事を参考にしてくださいね。
[getpost id=”475″ target=”_blank” ]いつまでの保険料を払えば良いの?
厚生年金へ切り替えるとき、いつまで自分で保険料を払うべきなのか気になりますよね。
基本的な考え方としては、入社月より前の月分の国民年金は自分で納める必要があります。
入社して厚生年金に加入すれば加入した月以降の保険料が給与から天引きされるので、入社月以降の保険料は自分で支払う必要はありません。
参考元:中途入社や退職のとき、厚生年金保険の保険料はどのようになりますか|日本年金機構
厚生年金に切り替わったのに納付書が送られてきた場合
時々、厚生年金に加入したはずなのに納付書が送られてくることがあります。「自分で支払わないと行けないの?」と戸惑ってしまいますね。
しかし、納付書は事務処理上のタイムラグで行き違いに送られてくることはよくあります。慌てて支払わないようにしましょう。
この場合の対処法は下記の記事で詳しく解説していますので、併せてご参考にしてくださいね。
[getpost id=”7488″ target=”_blank”]未納の確認方法は?
前述したように、基本的に自分で保険料を納める必要があるのは入社日の前月分までです。
ただし、試用期間中は厚生年金に加入しない決まりがあるなど、入社日=厚生年金加入日でないケースもあります(*)。
そういった場合に未納になってしまうことがありますので、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で、自分の加入状況をしっかり確認しておくことをオススメします。
また、日本年金機構から2月と10~11月頃の年2回、「国民年金未納保険料納付勧奨通知書(催告状)」という未納期間のお知らせが届きます。さらに、毎年7月中旬頃には、未納期間分の国民年金保険料納付書も郵送されます。
実際のところ、特に何もしなくても日本年金機構から通知があるため、未納期間にまったく気が付かない可能性は低いので安心してくださいね。
前納してしまった国民年金保険料はどうなる?
保険料を前納すると割引が受けられるので、利用している人も少なくないと思います。
しかし、厚生年金に切り替えたら既に前納した分の保険料を二重に支払うことになってしまいますよね。
この場合は、前納した分の保険料は後日きちんと返還されるので問題ありません。
日本年金機構が支払い状況をしっかり把握しているので、二重払いに気づいて「国民年金保険料過誤納額還付・充当通知書」という書類を郵送してくれます。(目安は厚生年金加入後1~2ヶ月後)
この書類に振込先の口座などを記入し返送すると、さらにその1~2ヶ月後にお金が返ってきます。
未納と同じく、二重払いの場合も日本年金機構側からアクションをしてくれるので、知らぬ間に払い損になる可能性は低いのでご安心くださいね。
還付請求は時効に注意!
実は、還付請求には時効があります。還付請求ができるのは2年以内です(参考記事:年金の時効は2年?5年?)
時効の起算日は還付請求書類が届いてから2年なので、書類が届いたらすみやかに請求するように注意しましょう。なお、還付請求の手続方法については下記記事も参照して下さい。
参考:第1号被保険者から第2号被保険者になった時の国民年金保険料の還付手続きまとめ【記事未了】
国民年金保険料を口座引落にした場合、手続きは必要?
保険料を口座引落にしている場合、基本的には厚生年金に切り替わった時点で、自動的に引き落としは中止されます。よって、特段の手続きは必要ありません。
ただし、事務処理上のタイムラグにより二重で保険料が引かれてしまう場合があります。
この場合も、前納の二重払いと同様に「国民年金保険料過誤納額還付・充当通知書」が郵送されてきます。
還付請求手続きをすれば払いすぎた分はきちんと返ってきますので安心してくださいね。
国民年金保険料に未納があると厚生年金に切り替えられない?
国民年金に未納期間がある場合、厚生年金への切り替え時に何か不都合が生じるかもしれないと不安になるかもしれません。
でも大丈夫です。未納期間があるからと言って、厚生年金に入れないとか、未納分を徴収されるとかのペナルティはありません。
厚生年金から国民年金への切り替え
会社員・公務員だった人が退職した場合は、厚生年金→国民年金へ切り替える必要があります。
国民年金→厚生年金の切り替えは勤め先が行ってくれますが、厚生年金→国民年金の切り替えは自分で行う必要があります。
以下、手続方法についてまとめておきますのでご確認くださいね。
- 提出先 :市区町村
- 提出書類:年金手帳など基礎年金番号がわかるもの、身分証明証(※その他、印鑑や離職票など自治体によって異なるので事前確認要)
- 提出期限:原則退職日の翌日から14日以内(実際は超過しても特に問題はない)
一応提出期限は定められていますが、超過したからと言って不都合があるわけではありません。ただし、放置しすぎるとデメリットもあるので、気がついたらすみやかに手続きしておきましょう。
また、必要書類は基礎年金番号と身分証明証は必須ですが、それ以外の書類は自治体によって変わります。事前に自治体のHPや電話で確認しておくとスムーズでしょう。
同じ月に退職→入社する場合の年金の切り替え手続きは不要!
年金は、月末時点で加入している年金の保険料を支払う仕組みとなっています。
つまり、同月内に退職→入社をした場合、月末はまた厚生年金に加入していることになるので、国民年金への切り替え手続きは不要です。(日本年金機構に電話で確認済み)
<国民年金への切り替え要否の例>
ただし、これは年金の切り替えのケースです。健康保険については、少しでも転職に期間が空くのであれば国民健康保険へ切り替えておいたほうが良いでしょう。
切り替えないと退職~入社の間が健康保険未加入の状態になり、もしも病気やケガで診察を受けた場合に全額自己負担となってしまいます。
年金の切り替えは不要ですが、国民健康保険への切り替えは忘れないようにしましょうね。
うっかり切り替えを忘れてしまったら
退職後は何かとバタバタしているので、年金の切り替えを忘れてしまうことはよく起こります。
しかし、手続きを忘れても最終的には日本年金機構が加入記録を調査して切り替えを行ってくれるので、致命的な問題にはなりません。
ただし、日本年金機構が手続き忘れに気が付くまでには少し時間がかかるので、後日未納分の保険料をまとめて請求されることになります。
仮に半年分の保険料をまとめて請求されたら、月額約16,000円×6ヶ月=約96,000円(扶養する配偶者がいる場合は約192,000円!)の大きな出費になってしまいますので、できるだけ早めに自分で切り替えたほうが良いでしょう。
第3号被保険者(専業主婦)の年金切り替え手続き
ここまでは会社員・公務員の就職・退職にともなう年金の切り替えについて見てきました。
ここからは、第3号被保険者(=第2号被保険者に扶養される配偶者)の年金の切り替えについて解説していきます。
新しく第3号被保険者になる場合は少し手続きが違いますので注意してくださいね。
第1号・第2号→第3号被保険者に変わる場合
第2号被保険者の扶養に入る場合は、新たに第3号被保険者へ切り替わる手続きが必要です。
手続きは配偶者(=第2号被保険者)の勤務先が行ってくれるので、配偶者から勤務先にその旨を伝えてもらうようにしましょう。
提出書類などの詳細については日本年金機構の扶養に入るときの手続きのページをご覧ください。
第3号被保険者→第1号被保険者に変わる場合
第3号被保険者が自営業などで厚生年金に加入せずに年収130万円を超えたり、配偶者が勤め先を退職したりした場合は、第1号被保険者への切り替えが必要です。このとき健康保険の扶養も同時に外れることになります。
まず、厚生年金と健康保険の扶養から外れる手続きの流れとしては、以下のようになります。
- 配偶者の勤務先に扶養から外れる旨を伝える
- 「健康保険 被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)」を渡されるので記入する
- 上記書類と健康保険証を配偶者の勤務先に提出する
次に、新しく国民年金と国民健康保険への加入手続きが必要となりますが、こちらの手続方法は厚生年金→国民年金への切り替えと同様となります。
第3号被保険者→第2号被保険者に変わる場合
第3号被保険者が会社員または公務員として就職した場合、第2号被保険者への切り替えが必要です。
まず、厚生年金と健康保険の扶養から外れるための手続きは、先のセクションの第3号→第1号への切り替えのケースと同様です。
次に、新しい勤務先で厚生年金と健康保険に加入する手続きが必要となりますが、国民年金→厚生年金の切り替えと同様にあなたの勤め先が厚生年金と健康保険の加入手続きをしてくれます。
年金手帳を提出する以外は特にあなた自身で手続きすることはありません。
まとめ
国民年金→厚生年金は、自分での手続きは不要ですが保険料の納付が少し複雑です。いつから厚生年金が引き落とされるか必ず確認するようにしましょう。
また、厚生年金→国民年金に切り替わる場合は、「今まで会社まかせで年金の手続きはサッパリ・・・」という人も多く、うっかり手続きを忘れてしまいがちです。
あとで高額な保険料の請求が来て慌てないためにも、しっかり切り替えを行うようにしましょうね。