年金生活者支援給付金の疑問

「貯金もあまり無いし、国民年金だけだとこれからの老後生活が満足に生きていけない!」

そんな悩みを抱いている方も多いでしょう。

多くの方にとって老後資金のメインは、現役時代に貯めた貯金と引退後に受け取る公的年金ですよね。

しかし、最近の平均寿命はおおよそ女性87歳・男性80歳となっており、昔と比べると非常に長くなっています。その結果、「贅沢をしなくても現役時代に貯めた貯金は次第に減っていき、どこかのタイミングで生活が苦しくなってしまう」、という高齢者が多いようです。

サラリーマンとして定年まで勤め上げた方は、厚生年金もあるのでそれほど心配はないかもしれません。

しかし、自営業の方や病気等で収入がなかった方などの年金額はそれほど多くないでしょうからね・・・。放っておくと、所得の少ない年金受給者は老後を平穏に過ごすことが出来ないかもしれません!

そこで、国は年金生活者支援給付金と称して、所得の少ない年金受給者に対して給付金を支給しようと進めています。

ここでは年金生活者支援給付金が一体どういうものなのか、「誰が・いつから・いくらくらい貰えるのか」などについて見ていきましょう。



年金生活者支援給付金とは?

解説する女性

年金生活者支援給付金は、年金生活者支援給付金法)を基に、年金受給者のうち低所得者や障害年金・遺族年金の受給者に対して支給される給付金です(「低年金者への加算」とも呼ばれています)。

:正式名称は「年金生活者支援給付金の支給に関する法律」

支給の目的は、年金生活者支援給付金法の第1条に記載されているのですが、「支給対象者の生活の支援を図ること!」です。

支給される給付金は以下の3種類のいずれか。

  1. 老齢年金生活者支援給付金
  2. 障害基礎年金生活者支援給付金
  3. 遺族年金生活者支援給付金

ちなみに、①の対象者は約500万人、②・③の対象者は合計で約190万人と言われています。

以下で、給付金の支給対象者や条件などについて見ていきましょう。

年金生活者支援給付金の対象者・要件は?

年金生活者支援給付金は誰でも貰えるという訳ではありません。主に低所得者等に対する生活支援が目的なので、貰うには一定の条件を満たす必要があります。

条件を表すチェックマーク

まず、大前提として以下の2点を満たしている事が必要で、生活保護の受給者には原則として給付金は支給されません。

  • 3月31日時点で65歳以上
  • 年金が支給されている

:2017年8月1日以降は、年金受給に必要な期間が25年から10年に短縮されています。その結果、納付済期間、免除期間、合算対象期間の合計が10年になれば年金を貰う事が可能です。(参照元:日本年金機構

この大前提をクリアした上で、各給付金を貰うために以下の所得要件を満たす必要があります。

老齢年金生活者支援給付金を貰うための条件(参照元:法第2条第1項)
  • 住民税の非課税世帯
  • 前年の年金収入+その他の所得≦老齢基礎年金の満額(平成30年度の年金額は779,300円)

要は、「年間の収入が国民年金の満額にすら満たない方」という訳ですね。預金がたくさんあればいいですが、この金額だと確かに給付金等何かしらの手当がないと、生活は困難ですね・・・。

障害年金・遺族年金生活者支援給付金
こちらについては、所得が「扶養親族の数に応じた政令で定める金額以下であること」が支給の要件です。

具体的な金額については、追々定まっていく事でしょう。

 
ただし、いずれの給付金も、以下の事項に該当する方には支給されませんので注意が必要です(同法第10条第2項)。

  • 日本国内に住所を有しない
  • 老齢基礎年金全額の支給が停止されている
  • 刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されている

不公平感を無くすための「補足的老齢年金生活者支援給付金」とは?

年金生活者支援給付金は、上で紹介した所得要件を満たす必要があり、要件を1円でも超えてしまうと何も支給されません。

しかし、それだと基準をギリギリ満たした方が給付金を貰った結果、ギリギリ要件を満たさなかった方よりも所得が多くなるという逆転現象が発生してしまい、不公平ですよね。

unfair

そこで、逆転現象が起きない様に所得が一定の範囲内の方には、補足的老齢年金生活者支援給付金が支給される様になっているのです。

補足的老齢年金生活者支援給付金については、法第10条で以下の様に規定されています。

第十条 国は、老齢基礎年金受給権者が、その者の前年所得額が所得基準額を超え、かつ、所得基準額を勘案して政令で定める額以下であることその他その者及びその者と同一の世帯に属する者の所得の状況を勘案して政令で定める要件に該当するときは、当該老齢基礎年金受給権者に対し、補足的老齢年金生活者支援給付金を支給する。

具体的な支給金額については、政令で定められる事になるでしょう。

参考までに、補足的給付金のイメージ図を載せておきますね。

補足給付金のイメージ図(画像参照元:厚生労働省

年金生活者支援給付金で貰えるのは年間6万円(月5千円)が基準!

年金生活者支援給付金は月単位で支給される(実際の支給は2ヶ月に1回毎)のですが、貰えるのは以下の2つを合算した額です(年金生活者支援給付金法第3条)。

  • ①給付基準額×保険料納付済期間÷480
  • ②老齢基礎年金満額×(保険料免除期間÷6÷480)÷12

なお、給付基準額は5,000円です(同法第4条)。

参考:給付基準額は総務省が発表する物価指数によって改定されることになっています。

喜ぶ老人

ちょっと計算式がややこしいですが、国民年金を免除されることなく全額納付して来た方は毎月5,000円、年間で60,000円貰えるという事です。そして、未納の期間や免除期間がある方は、その期間に応じて加減算される事になります。

簡単な計算例として、「納付済期間が420ヶ月、全額免除期間が60ヶ月」だった方の場合に貰える給付金を考えてみましょう(平成30年4月分から年金をもらうケース)。

上記計算式にこれらの数値を当てはめていきますね。

  • ①5,000円×420÷480=4,375
  • ②779,300円×(60÷6÷480)÷12=1,353
  • ①+②=5,728円

このケースでは毎月5,728円(年間68,736円)貰えるという事ですね。

なお、障害年金生活者支援給付金と遺族年金生活者支援給付金については、以下の通りとなっておりいずれも満額支給されます(参照元:法第16条・21条第1項。)

  • 障害年金生活者支援給付金・・・月5,000円(障害等級1級の場合は6,250円)
  • 遺族年金生活者支援給付金・・・月5,000円
注:計算例に関しては編集部が現在の情報をもとに表示しています。まだ確定的な情報が出ていないこともあり、計算例が間違えている場合もあるのでその点はご注意ください。さらなる詳細が発表された場合で、計算例が間違っていた場合には速やかに修正します。

年金生活者支援給付金を貰う為の手続き

役所の相談所

年金生活者支援給付金は、現時点でまだ支給が開始されていないので、給付金を貰う為の手続きもまだ公式な説明はありません。

しかし、過去に支給された給付金と同じ様な手続きが必要となると考えられます。

従って、以下の様な手続きになる可能性が高いでしょうね。

  • 支給対象者と思われる方の自宅に郵送で通知書が届く
  • 申請期間中に市区町村役場で申請する
  • 審査
  • 支給決定通知書が自宅に届く
  • 申請の翌月から受給可能となり、2ヶ月に1度年金とセットで振込される
給付金を貰う為の正式な手続きは、公式発表があり次第各自チェックする様にしてください。

年金生活者支援給付金はいつから貰える?延期になっている理由は消費税!

もともと年金生活者支援給付金法自体は、2012年に制定されており、当初は2015年10月1日から施行される予定でしたが、実際には2018年4月時点で未だ施行されていません

これはなぜかというと、年金生活者支援給付金の制度が、「社会保障・税一体改革」の一環として行われるもので、財源が消費税となっているからです。

消費税増税

年金生活者支援給付金法の附則第1条には、以下の記載があります。

第一条 この法律は、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律(平成二十四年法律第六十八号)附則第一条第二号に掲げる規定の施行の日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

また、同法附則第4条では、その財源についての記載があります。

第四条 年金生活者支援給付金の支給に要する費用の財源は、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律の施行により増加する消費税の収入を活用して、確保するものとする

つまり、消費税の増税によって増えた税収を財源にして給付金を支給しようとしているので、消費税が増税されないと支給も開始されないのです。

残念がる男性

消費税は2014年4月に5%から8%に上がったものの、10%にはまだなっていません。

今の所、消費税が10%に上がるのは2019年(平成31年)10月とされているので、年金生活者支援給付金が支給されるのは、2019年10月よりは後という事になりますね(同じタイミングだと支給財源がないので、消費税アップよりは後になる)。

参考:もともと施行日は「消費税が10%になったとき」とされているので、施行日が当初の見込みより遅れたとしても法改正は特に必要ありません。

支給対象者はお金が貰えるから嬉しいけど、制度導入時には消費税も上がるっているのでその人の生活はちゃんと改善されるのかな・・・という心配はありますよね。

なお、支給が開始されると年金と同様に2ヶ月ごとに支給されます(同法第6条第3項)。

現時点では、2019年10月から給付金が支給される方向となっている様です(当初の2019年12月予定からは2ヶ月前倒し)。これは、消費税増税のタイミングに合わせる事で低所得者の負担軽減を図るためですね。

ただし、財源が無いのに前倒しで支給しようとすると、約1,000億円を別のところから持って来る必要があります。そこで、年金の積立金がつなぎ資金として活用される可能性もある様ですよ。

【参考】前倒しで登場した「年金生活者等支援臨時福祉給付金」とは?

年金生活者支援給付金に似た名前の給付金として「年金生活者等支援臨時福祉給付金」が平成28年度(2016年)に登場したのを覚えていますか?

これは、年金生活者支援給付金の前倒し的な位置付けで登場した給付金です(参照元:厚生労働省「年金生活者等支援臨時福祉給付金の概要」)

条件を満たした低所得の老齢年金受給者には、一回きりですが1人につき3万円が支給される、というものでした。

参考:似た様な給付金は過去にも何度か実施されています。

まとめ

要約

所得の少ない年金受給者に対して支給される「年金生活者支援給付金」の概要について見て来ました。

簡単にまとめると以下の様な感じです。

  • 給付金には「低所得者用・障害年金受給者用・遺族年金受給者用」の3種類がある。
  • 住民税非課税世帯で、前年所得が国民年金の満額に満たない方や、障害年金・遺族年金受給者が支給対象。
  • 基本支給額は月5,000円(年額60,000円)で、年金納付期間や障害等級等によって増減する。
  • 施行が延期されており、消費税が10%になる2019年から制度がスタートする予定。

消費税が10%になるまでスタートしない制度なので、現時点ではまだもらう事は出来ない給付金ですが、請求しないともらえないものなので、条件に該当する方はいつ制度が始まってもいい様に、しっかりと制度内容を把握しておく様にしたいですね。

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