年金関係の手続きをするときには、ほとんどの場合に基礎年金番号が必要となってきます。
でも、年金の手続きなんて滅多にしない人は、「基礎年金番号ってなに?どこに書いてあるの?」と疑問に思ってしまうでしょう。
そこで、この記事では、基礎年金番号についての基礎知識や、混同しやすいマイナンバーとの違いなどについて解説するとともに、基礎年金番号にまつわる細かな疑問についてもお答えしていきます。
基礎年金番号は年金関係の手続きにおいてとても重要な番号ですので、ぜひしっかり理解しておいてくださいね。
基礎年金番号とは?
基礎年金番号は、1997年(平成9年)1月から導入された、公的年金の加入者全員に与えられる、すべての公的年金に共通の管理番号です。4桁-6桁の合計10桁の数字でできており、番号は原則的に生涯変わりません。
なお、基礎年金番号の導入前は、国民年金・厚生年金・共済年金それぞれ別の年金番号があり、制度ごとにバラバラに年金記録が管理されていました。
しかし、年金制度が切り替わるときに手続き忘れがあっても気が付かず未加入期間ができてしまったり、複数の年金制度の加入記録を照合するときに時間がかかったり見落としがあったりと、問題が多く存在していたのです。
そこで、基礎年金番号制度を導入することですべての公的年金を一元的に管理できるようになり、それらの問題を解消することができました。
- 年金制度切り替え時の手続き忘れを発見し、年金の未加入発生を防止
- 加入記録や将来の年金見込額の通知が可能に
- 年金相談や年金の裁定がより迅速かつ正確に行える
基礎年金番号のおかげで、わたしたちの年金がより正確に管理されるようになったということですね。
基礎年金番号の調べ方
就職・転職・退職にともなう厚生年金や国民年金の加入手続きや、年金の各種変更手続き、個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入手続きなどには、基礎年金番号が必要となります。
基礎年金番号は年金手帳もしくは基礎年金番号通知書に記載されていますので、まずはそれらの書類で確認しましょう。
もし紛失している場合は他の方法でも確認できます。詳しくは以下の記事をご参考にしてくださいね。
[getpost id=”689″ title=”併せて読みたい” target=”_blank”]また、年金手帳や基礎年金番号通知書はとても大切なものです。紛失している場合は、必ず再発行をしておきましょう。
[getpost id=”475″ title=”併せて読みたい” target=”_blank”]マイナンバーとの違いを整理!
基礎年金番号もマイナンバーも、どちらも公的な手続きに使う番号なのでつい混同してしまいがちです。
しかし、両者は全く別の種類の番号です。一度それぞれの違いを整理しておきましょう。
基礎年金番号 | マイナンバー | |
---|---|---|
利用対象 | 年金 | 社会保障(年金含む)・税・災害対策 |
付与される人 | 国民年金または厚生年金加入者 | 日本国内に住民票があるすべての国民 |
桁数 | 10桁 | 12桁 |
基礎年金番号は、公的年金制度の加入者に付与される年金専用の管理番号です。
国民年金は、日本に住民票がある20歳以上60歳未満の人は全員加入する義務があるので、日本に住む20歳以上の人は全員基礎年金番号を持っているということになります(*)。
一方、マイナンバーは日本に住民票がある人全員に付与されます。
また、マイナンバーは年金を含めたより広範囲の行政サービスの情報処理を円滑にするために使われています。
利用対象も付与される範囲も、基礎年金番号よりマイナンバーの方が規模が大きいということですね。
<各番号の対象範囲>
基礎年金番号の代わりにマイナンバーでも手続き可能!
2018年(平成30年)3月から、基礎年金番号とマイナンバーとの連携が始まりました。(参考元:日本年金機構におけるマイナンバーへの対応|日本年金機構)
それまでは基礎年金番号のみでしか手続きできなかった年金関連の手続きが、基礎年金番号の代わりにマイナンバーでもできるようになったのです。
ただし、だからといって基礎年金番号が完全に不要になったわけではありません。
海外に転出した場合(=マイナンバーが失効する)や、口座振替の申込などは基礎年金番号でしか手続きができませんので、年金手帳や基礎年金番号通知書は引き続き大切に保管しておきましょう。(参考元:マイナンバーを届け出れば、基礎年金番号は不要になるということでしょうか。|日本年金機構)
基礎年金番号に関するよくある疑問
基礎年金番号の基礎知識を見てきたところで、ここからは、基礎年金番号にまつわるよくある疑問についてお答えしていこうと思います。
基礎年金番号が変わることはある?
基礎年金番号は生涯変わることはありません。国民年金や厚生年金の切り替えがあっても番号は同じままです。
ただし、家庭内暴力(DV)の被害に遭った人は、秘密保持の観点により基礎年金番号の変更が可能となります。
参考元:基礎年金番号の実施事務の取扱いについて 第五 その他の共通する事項4(3)|厚生労働省
基礎年金番号がない場合とは?
日本に住む「20歳以上の人」もしくは「20歳未満で厚生年金に加入した人」には、基礎年金番号が付与されているはずです。
もし、「既に20歳以上になっているOR厚生年金に加入したことがある」のに基礎年金番号が付与されていない場合は、事務処理が正しく行われていない可能性がありますので、速やかに年金事務所に連絡しましょう。
逆を言えば、20歳未満で就職したことがない人には基礎年金番号は付与されていませんので慌てる必要はありません。
なお、学生納付特例制度の申請書には基礎年金番号を記入する欄がありますが、基礎年金番号がまだ付与されていない人は空欄のまま提出して大丈夫です(*)。
申請書の詳しい書き方に関しては「学生納付特例制度の申請書の書き方 | みんなが悩み部分を丁寧に解説!【記事未了】」をご参照下さい。
基礎年金番号が複数ある場合は?
本来、基礎年金番号は一人に一つ与えられます。
もし基礎年金番号が複数存在する場合、あなたの年金の記録がバラバラになっている可能性があります。
保険料が重複して徴収されていたり、支払った一部の保険料が将来の年金額に反映されなかったり、年金の受給資格を満たせなかったりする危険があるのです。
基礎年金番号が複数ある場合は、必ず最寄りの年金事務所へ相談しに行ってください。
どれが正しい番号なのかを調査し、一つの番号に統合してもらいましょう。
基礎年金番号を他人に知られたら悪用される?
基礎年金番号だけが他人に知られても、悪用される恐れはほとんどありませんのでご安心ください。
特に年金受給の請求や、年金の受取口座の変更など、重要な手続きは必ず本人確認が必要となります。基礎年金番号だけでは他人の年金を不正に受け取ったりはできません。
参考元1:支給開始年齢になったとき|日本年金機構
参考元2:年金の受け取り先の銀行を別の銀行に変えるとき。|日本年金機構
ただし、氏名・住所・生年月日も併せて知られていると、悪用される可能性は上がります。
例えば、
- あなたになりすまして年金の加入履歴や受給状況をのぞき見される
- 個人情報を転売され、覚えのない勧誘や訪問販売、ダイレクトメール等が来る
- 電話番号も特定されれば、日本年金機構を装った振り込め詐欺などの電話が来る
このようなリスクもあります。基礎年金番号は不用意に他人に知られないよう注意したほうが良いでしょう。
まとめ
基礎年金番号はあらゆる手続きで必要となってきます。
マイナンバーとの連携によって、いずれは不要になる可能性もありますが、現段階ではまだまだ重要な番号と言えるでしょう。
いざというときに慌てないよう、自分の基礎年金番号はすぐに確認できるようにしておきましょうね。